クロストリジウム筋壊死

クロストリジウム性筋肉壊死とは

クロストリジウム性筋肉壊死は、壊死性筋膜炎の一種であり、主に Clostridium perfringens（ウェルシュ菌）をはじめとする Clostridium septicum などの嫌気性グラム陽性桿菌によって引き起こされる感染症です。この病気は、筋肉組織が急速に破壊され、壊疽へと進行する点が特徴です。臨床的には、ガス壊疽が筋肉組織にまで及んだ状態を指します。

原因と感染経路

クロストリジウム属菌は、土壌や動物の腸管などに広く分布しています。通常、健康な状態では感染を引き起こすことはありませんが、以下のような状況下で感染のリスクが高まります。

外傷: 戦争や事故による外傷、手術、筋肉注射などが原因となることがあります。特に、散弾銃や榴弾による深い傷は感染のリスクを高めます。
災害: 阪神・淡路大震災や東日本大震災などの災害時にも発生が報告されています。

症状

症状は受傷後24時間から3日以内に現れることが多く、進行が非常に速いのが特徴です。主な症状としては、以下のものが挙げられます。

激しい痛み: 創部に限局した激しい痛み。
壊死性変化: 高度の壊死性変化。
むくみ: 顕著なむくみ。
分泌物: 血性漿液の分泌物。
握雪感: 触診時に雪を握ったような感覚。

放置すると、クロストリジウム属菌が産生する毒素によって全身状態が悪化し、血圧低下、心機能低下、腎不全、DIC（播種性血管内凝固症候群）などを引き起こし、予後は極めて不良となります。

診断

診断には、以下の検査が行われます。

身体所見: 創部の状態、痛み、むくみ、分泌物などを観察します。特徴的な握雪感の有無を確認します。
画像検査: X線検査で筋肉内のガス像を確認します。
細菌培養検査: 創部から採取した検体を培養し、原因菌を特定します。

治療

治療は迅速に行う必要があり、主に以下の方法が用いられます。

抗菌薬投与: クロストリジウム属菌に有効な抗菌薬を投与します。
高圧酸素療法: 高濃度の酸素を投与することで、嫌気性菌であるクロストリジウム属菌の増殖を抑制します。
デブリードマン: 壊死組織を切除し、感染源を取り除きます。
外科的切断: 感染が広範囲に及んでいる場合、やむを得ず患肢を切断することがあります。

予防

クロストリジウム性筋肉壊死を予防するためには、外傷を負わないように注意することが重要です。また、創傷が生じた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な処置を受けるようにしましょう。

まとめ

クロストリジウム性筋肉壊死は、進行が早く、致死率の高い感染症です。早期発見と迅速な治療が非常に重要となります。疑わしい症状が現れた場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。

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