壊死性筋膜炎

壊死性筋膜炎

壊死性筋膜炎は、皮膚の下の組織と筋肉を覆う筋膜の間で起こる細菌感染症です。この感染症は急速に進行し、組織の壊死を引き起こすため、非常に危険です。特に中高年の四肢や陰部に多く見られます。

原因

壊死性筋膜炎は、様々な細菌によって引き起こされる可能性があります。一般的な原因菌としては、以下のものが挙げられます。

黄色ブドウ球菌
溶血性レンサ球菌（特に劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症）
大腸菌
嫌気性菌（ウェルシュ菌など、ガス壊疽の原因となるものも含む）
ビブリオ・バルニフィカス（「人食いバクテリア」と呼ばれることもある）
エロモナス属

これらの細菌は、傷口や手術部位から侵入することが多いですが、まれに、原因菌の経口摂取や、肛門周囲膿瘍、歯周炎、親知らず周囲炎、抜歯後感染、咽頭周囲炎などが原因となることもあります。また、耳下腺炎や歯槽膿瘍、口腔粘膜の損傷、歯科治療などが先行して発症するケースも報告されています。

症状

初期症状は蜂窩織炎と似ていることがあり、鑑別が難しい場合があります。主な症状としては、以下のようなものがあります。

皮膚の著しい腫れ（浮腫）
紫色の斑点（紫斑）
水ぶくれ（水疱）や血性の水ぶくれ（血疱）
皮膚の陥没性壊死
潰瘍
激しい痛み
発熱などの全身症状

診断

壊死性筋膜炎の診断には、以下の検査や画像診断が用いられます。

細菌検査: 抗菌薬投与前に感染部位から検体を採取し、原因菌を特定します。
血液検査: 白血球数の増加や炎症反応（CRP高値）の上昇、肝機能障害、凝固系異常などを確認します。
画像検査（MRI、CT）: 筋膜の病変やガス像の有無を確認します。

治療

壊死性筋膜炎の治療は、緊急を要します。主な治療法としては、以下のものがあります。

外科的デブリードマン: 壊死した組織を外科的に除去します。感染の拡大を防ぐために、広範囲に及ぶこともあります。
抗菌薬の大量投与: 原因菌に有効な抗菌薬を、大量に投与します。
対症療法: 痛みや発熱などの症状を緩和するための治療を行います。
ショック症状への対応: 感染が重症化し、ショック状態に陥った場合には、集中的な治療が必要となります。

予後

壊死性筋膜炎は、非常に重篤な感染症であり、治療が遅れると、播種性血管内凝固症候群（DIC）や多臓器不全を引き起こし、死に至ることもあります。早期診断と迅速な治療が、救命のためには不可欠です。

関連項目

クロストリジウム筋壊死
蜂窩織炎
* 敗血症

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