クロタチカマス科

クロタチカマス科について

クロタチカマス科（学名：Gempylidae）は、スズキ目サバ亜目に属する魚類の一群です。少なくとも16の属と24の種が含まれており、その中にはクロタチカマスやアブラソコムツが存在します。日本には11属、12種が確認されています。

生息環境と特性

クロタチカマス科の魚たちは全て海水魚で、熱帯から亜熱帯地域、さらには温帯海域の深海に広がっています。彼らは主に中深層（水深200メートルから1,000メートル）を生息範囲とし、海底から離れた中層を泳ぐことが多いです。多くの種が体長で数十センチメートルから最大で2メートル近くまで成長する中・大型魚類であり、その中には食用とされるものもありますが、深海で浮力を確保するために多量のワックスを含んでいるため、アブラソコムツやバラムツは日本では食用としての販売が禁止されています。

形態的特徴

これらの魚類の体型は細長く、左右に若干平たくなった側扁型から、円筒形に近いものまで多様です。特徴的なのは下顎が上顎よりも突出しており、主上顎骨が目立つ点です。また、歯が長く鋭いことも特異な点です。さらに、背部に明瞭な尾鰭があることで近縁のタチウオ科と区別されています。胸鰭は体側の低い位置に配置されており、腹鰭は退化が進んでおり、棘条が1本しかないものや、ほとんど消失した種もみられます。臀鰭には1から3本の棘条と、8から35本の軟条が存在し、背鰭や臀鰭の後方には小離鰭が見られます。椎骨の数は32から58個という特徴もあります。

分類

2016年のNelsonの研究によると、クロタチカマス科には16属24種が確認されています。その中でアブラソコムツ属は、最も初期の起源を持つ群とされ、他の属との関係も注目されています。いくつかの属はサバ科との共通点を多く持ち、またホソクロタチ属はタチウオ科との中間的な特性を示すこともあるため、この科の位置づけにはまだ不明点が残されています。

主要な属と種

アオスミヤキ属 Epinnula

• - アオスミヤキ (Epinnula rex)
• - Epinnula magistralis

アブラソコムツ属 Lepidocybium

• - アブラソコムツ (Lepidocybium flavobrunneum)

カゴカマス属 Rexea

• - オオメカゴカマス (Rexea nakamurai)
• - カゴカマス (Rexea prometheoides)
• - Rexea alisae

クロタチカマス属 Gempylus

• - クロタチカマス (Gempylus serpens)

その他の属

• - トウヨウカマス属 Neoepinnula
• - ナガタチカマス属 Thyrsitoides
• - バラムツ属 Ruvettus

このように、クロタチカマス科は多様な生態系の一部を成しており、深海における生物の理解を深める上で重要な存在です。

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