クロツグミ

クロツグミ（黒鶫）

クロツグミ（学名：Turdus cardis）は、スズメ目ツグミ科に属する鳥で、日本や中国を中心に分布しています。特に日本の本州中部以北や中国の長江中流域で繁殖が見られ、冬になると中国南部へ移動します。西日本では、越冬する個体が確認されることもあります。

形態

クロツグミの大きさは約22cmと、ツグミの一種の中ではやや小ぶりです。体型はオスとメスで異なり、オスは全身が黒色で、腹部は白地に黒の斑点が目立っています。アイリングとクチバシは明るい黄色で、目を引く特徴です。一方、メスは全身が褐色で、胸から腹にかけて白地に黒の斑点があるのが特徴で、腹部は白色です。この点で、春に渡来するクロウタドリと似ている部分はありますが、クロツグミはその羽毛の色合いが異なるため、識別が可能です。

生態

クロツグミは、主に山地や丘陵地の森林に生息しますが、平野の森林にも適応します。繁殖期にはペアで生活し、自分たちの縄張りを持つことが一般的です。渡りのシーズンには小さな群れを形成し、時には市街地の公園でも目撃されます。

食事は基本的に動物性で、主に地面を歩きながら昆虫やミミズを捕食します。繁殖行動は、5月から7月にかけて行われ、木の枝の上にコケ類や枯れ枝、土を用いて椀状の巣を作ります。一般的に1回の繁殖で3から4個の卵を産み、抱卵には約12から13日を要します。その後、雛は約14日で巣立ちます。雛の世話はオスとメスが協力して行います。

繁殖期のオスは、その美しい囀りが特徴で、非常に大きな声でさえずります。複雑なメロディーで、他の鳥のさえずりを取り入れることもよくあるため、聴く者を魅了します。地鳴きは「キョキョキョ」といった特徴ある音で知られています。

興味深い点として、クロツグミは毎年同じ場所で繁殖しない傾向があるようです。詳しい理由は明らかではありませんが、広いエリア内の特定の地点に飛来して繁殖する可能性が高いと考えられています。

参考文献

• - 山渓カラー名鑑『日本の野鳥』、山と渓谷社 、1985年

関連項目

• - 日本の野鳥一覧

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