クロウタドリ

クロウタドリ（黒歌鳥）

クロウタドリ（学名：Turdus merula）は、スズメ目ツグミ科に分類される鳥類の一種です。美しい歌声で知られ、人々に親しまれています。

分布

クロウタドリは、ヨーロッパ全土、アフリカの地中海沿岸、中近東、インド、中央アジア南部、中国東南部、オーストラリア東南部、ニュージーランドといった広範囲に生息しています。ヨーロッパ西部では一年を通して見られる留鳥ですが、ロシアや中国では夏鳥として渡来します。オーストラリアやニュージーランドに生息する個体群は、人為的に持ち込まれたものが繁殖したと考えられています。

日本では、旅鳥またはまれな冬鳥として、北海道から沖縄県まで記録されています。特に西表島や与那国島での記録が多く見られます。

形態

クロウタドリは、体長約28cmで、大型のツグミに分類されます。オスの体色は全身が黒く、鮮やかな黄色のくちばしと目の周りの黄色いアイリングが特徴的です。一方、メスの体色はオスに比べてやや淡い色合いで、くちばしや目の周りの黄色も目立ちません。

15ほどの亜種が知られており、中には白い羽を持つ白変種の個体も確認されています。

生態

クロウタドリは、開けた環境を好むため、公園や道端などでよく見かけられます。地上を歩き回りながら、昆虫などをついばんで食べることが多いです。昆虫が少ない季節には、ベリーや木の実なども食べます。オスは美しい歌声で囀り、縄張りを主張したり、メスに求愛したりします。ライバルのオスを見つけると、「キィキィキィキィーッ」と鳴きながら追い払う行動も見られます。

ヨーロッパでは、クロウタドリは春の訪れを告げる鳥として親しまれており、スウェーデンでは国鳥に指定されています。

英語では、クロウタドリのことを "Blackbird" と呼びますが、アメリカ英語で "Blackbird" と言うと、ムクドリモドキを指すことがあるため、注意が必要です。

ビートルズの楽曲「Blackbird」や、マザー・グースの童謡「6ペンスの唄」に登場する "blackbirds" は、このクロウタドリのことを指しています。

作曲家のオリヴィエ・メシアンは、クロウタドリの歌声を深く愛し、採譜した上で、自身の代表作である「世の終わりのための四重奏曲」やフルート曲「クロウタドリ」に用いています。

サンプル

クロウタドリの鳴き声は、こちらで聞くことができます。

関連項目

日本の野鳥一覧
ブラックバード (ビートルズの曲) －歌詞に登場する「ブラックバード」はこの鳥がモデルです。

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