クロマメノキ

クロマメノキ（黒豆の木）

クロマメノキ（学名: Vaccinium uliginosum var. japonicum）は、ツツジ科スノキ属に分類される落葉低木です。別名として黒豆木とも呼ばれます。

分布と生育環境

クロマメノキは、アジア、ヨーロッパ、北アメリカといった北半球の寒冷な地域に広く分布しています。日本国内では、北海道から本州の中部地方以北にかけて分布しており、亜高山帯から高山帯の日当たりの良い岩礫地や砂礫質の草地、湿地などで群生しているのが見られます。種小名の「uliginosum」は「湿地に生える」という意味を持ちます。

特徴

形態: 樹高は30cmから80cm程度まで成長します。若い枝は角ばっており、毛はありません。葉は厚い紙のような質感で、1mmから2mm程度の葉柄を持ち、互い違いに生えます。葉身は倒卵形または楕円形で、長さは1cmから3cm、幅は0.4cmから2cm程度。葉の先端は丸みを帯びており、短い突起があります。葉質はやや硬く、両面に毛はありません。表面はやや青みがかった緑色で、裏面はやや白っぽく、網目状の葉脈が隆起して見えます。葉の縁には鋸歯はありません。
紅葉: 秋になると葉は赤色に紅葉し、時には橙色や黄色に変化します。
花: 開花時期は6月から7月にかけてで、新枝の上部の葉の付け根ごとに、長さ3mmから7mmの花柄を持つ紅色を帯びた白色の花を1個から3個つけます。花柄の下部には1mmから5mm程度の小包葉が1枚から2枚あり、形状や大きさには変化が見られます。萼筒は長さ約2mmの広鐘形で、先端は5つに裂けており、裂片は三角形に近い円形をしています。花冠は長さ5mmから7mmで、つぼ状の筒形で、先端はやや狭まっており、浅く5つに裂けて先端が反り返っています。雄しべは10本あります。
果実: 結実時期は9月頃で、直径7mmから10mm程度の球状の液果をつけます。果実は熟すと黒紫色になり、表面には白っぽい粉がつきます。

食用

クロマメノキの果実は甘みがあり、食用とされます。長野県では「アサマブドウ」と呼ばれ、食用にされています。また、北朝鮮の白頭山付近でも「ツルチュク」として食用にされています。生で食べるだけでなく、ジャムや果実酒、砂糖漬けなどに加工されることもあります。

変種

ヒメクロマメノキ (Vaccinium uliginosum L. var. alpinum Bigelow.): 樹高が10cmから20cmと低く、茎が地面を這うように横に広がります。花や果実はクロマメノキよりもやや小さいのが特徴です。日本では、北海道から本州の中部地方以北の高山帯の岩礫地に生育しています。海外では、千島列島、樺太、朝鮮半島北部、北アメリカ、グリーンランドなどに分布しています。別名としてコバノクロマメノキ（小葉の黒豆の木）とも呼ばれています。

種の保全状況評価

クロマメノキは、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けており、保護の対象となっています。

Cランク - 岩手県（環境省の準絶滅危惧種相当）
* 地域個体群 - 新潟県

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