クロメ

クロメ（黒布）とは

クロメ（学名：Ecklonia cava ssp. kurome）は、コンブ目コンブ科カジメ属に属する大型の褐藻の一種です。海中で藻場（海中林）を形成し、独特の生態系を支えています。

特徴

クロメは、以下の特徴を持ちます。

形態
根のような付着器で岩に固着
1本の茎（茎状部）の先端に葉（葉状部）がつく
葉の両縁から側葉が羽状に伸びる
葉の表面にはシワがある
多年生で、大きいものは高さ1–2メートルに達する
世代交代：複相の胞子体と単相の配偶体で異形世代交代を行う
その他：茎や葉には不規則にならぶ粘液腔道がある

近縁種であるカジメとの区別点として、クロメは葉の表面にシワがあることが挙げられます。しかし、遺伝子解析の結果、クロメとカジメの境界は不明瞭であるという指摘もあります。

分布と生態

クロメは、本州中南部から四国、九州の太平洋岸、および瀬戸内海に分布しています。潮下帯の岩礁域に生育し、藻場を形成します。この藻場は、動物の餌や生育環境として重要な役割を果たしています。

近年、磯焼けや食害により、クロメの藻場が衰退していることが報告されています。

人間との関わり

クロメは、食用として利用されています。特に大分県では、クロメを酢の物や味噌汁の具にしたり、醤油漬けとして食べる習慣があります。また、クロメを加工した乾物やふりかけ、調味料なども販売されています。

佐賀関では、持続的な利用のために漁期や収穫量が制限されています。漁師は、長い柄のついた鎌を使って手作業でクロメを採取します。

分類

クロメは、カジメ属に属するカジメやツルアラメと近縁です。これらの種は形態的な特徴が似ていますが、遺伝子解析の結果、種の境界が不明瞭であることが示されています。そのため、クロメとツルアラメをカジメの亜種とする説も提唱されています。

形態的にクロメと同定されるもののうち、東日本太平洋岸に分布するものは遺伝的にはカジメ、日本海側に分布するものは遺伝的にはツルアラメであることが判明しています。

食用褐藻としてのクロメ

クロメは、カジメやアラメなどと同様に、日本の食文化に根付いた海藻です。地域によっては特産品として親しまれており、様々な料理に利用されています。近年、クロメの藻場が減少していることが懸念されていますが、持続可能な利用を心がけることで、未来の世代にもクロメの恵みを伝えていくことが重要です。

関連項目

藻場
食用褐藻（モズク、ワカメ、コンブなど）

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