クロワゾニスム

クロワゾニスム（またはクロワゾニズム、クロワソニスム、クロワソニズム、Cloisonnism）は、19世紀後期に登場したポスト印象派の絵画様式の一つです。その特徴は、暗い輪郭線によって区切られた、明確で色彩豊かなフォルムによって構成される点にあります。この様式は、批評家エドゥアール・デュジャルダンによって名付けられました。

クロワゾニスムは、エミール・ベルナール、ルイ・アンクタン、そして特にポール・ゴーギャンといった画家たちによって先導されました。彼らは、従来の絵画の技法にとらわれず、より装飾的で象徴的な表現を追求しました。

この名称は、金属線で区切られた区画（cloisons＝仕切り）にエナメルを施して焼き付ける、伝統的な「クロワゾネ」技法に由来しています。クロワゾニスムの絵画では、この技法のように、色面が輪郭線によって明確に区切られ、それぞれが独立した領域を形成しています。

クロワゾニスムの代表的な作品として知られるのが、ポール・ゴーギャンの『黄色いキリスト』（1889年）です。この作品では、黒い輪郭線によって単純化された色彩面が、絵画全体を構成しています。ゴーギャンは、従来の絵画で重視されてきた古典的な遠近法をほとんど無視し、微妙な色彩のグラデーションも大胆に省略しました。

クロワゾニスムは、画家たちが、より直接的で、感情を強く表現する絵画を追求した結果として生まれたと言えるでしょう。この様式は、後の美術運動にも影響を与え、20世紀の美術に新たな展開をもたらしました。クロワゾニスムの画家たちは、象徴主義やナビ派の画家たちと交流し、その表現は、それぞれの活動に影響を与えました。

クロワゾニスムの絵画の特徴をまとめると、以下のようになります。

暗い輪郭線: 色面を区切る明確な輪郭線が特徴的です。
単純化されたフォルム: 対象を単純化し、装飾的な表現を強調します。
鮮やかな色彩: 単色で表現された色彩面が、鮮やかな印象を与えます。
遠近法の無視: 古典的な遠近法を重視せず、平面的な表現を追求します。
象徴的な表現: 抽象的な形態や色彩を用いて、感情や内面的な世界を表現します。

クロワゾニスムは、ポスト印象派の中でも特に装飾的で、象徴的な傾向が強い様式であり、近代美術の発展において重要な役割を果たしました。

関連情報:

Cloisonnism at ArtFacts
* 目'>綜合主義

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