クローズ・アップ (中山美穂の曲)

中山美穂「クローズ・アップ」：成熟への序章

1986年、アイドルシーンの中心で輝きを放っていた中山美穂。彼女にとって5枚目のシングルとなる「クローズ・アップ」は、アイドル時代の代表曲として、現在も高い人気を誇る楽曲です。この曲は、前作「色・ホワイトブレンド」から作詞に松本隆を再び起用し、作曲には財津和夫という新たな才能を迎えたことで、中山美穂の音楽的進化を象徴する作品となりました。

松本隆の起用は、この「クローズ・アップ」から1987年3月リリースの「派手!!!」まで5作に及び、この期間における中山美穂の楽曲の大きな特徴となっています。松本隆による洗練された詞と、財津和夫による美しくも切ないメロディーが見事に融合し、聴く者の心を掴む名曲を生み出しました。編曲は大村雅朗が担当し、楽曲全体の雰囲気をより一層引き立てています。

カップリング曲には「瞳のかげり」が収録されており、こちらも松本隆の作詞、財津和夫の作曲による作品です。A面とはまた違った魅力を持つこの楽曲は、アルバム『SUMMER BREEZE』にも収録され、シングルとは異なるアレンジを楽しむことができます。編曲は矢野立美が担当しています。

「クローズ・アップ」は、同年7月1日にリリースされたアルバム『SUMMER BREEZE』にも収録されています。ただし、このアルバムに収録されているのは、シングルバージョンとは異なるアルバム・バージョンです。シングルバージョンとアルバムバージョンの違いを聴き比べるのも、この楽曲を楽しむ上での大きなポイントと言えるでしょう。

その後も「クローズ・アップ」は、数々のベストアルバムに収録され続け、その人気は衰えることがありません。代表的な作品として、『COLLECTION』、『Pure White Live '94』（限定盤、ライブ音源としてシングルメドレーで収録）、『Complete SINGLES BOX』、『中山美穂 パーフェクト・ベスト』、『中山美穂 パーフェクト・ベスト2』（アルバムバージョン収録）、そして財津和夫の提供曲集である『財津和夫の曲たちII～たくさんのアーティストへの提供曲集～』にも収録されています。さらに、『30th Anniversary THE PERFECT SINGLES BOX』、『All Time Best』にも収録されており、中山美穂の音楽史において重要な位置を占める楽曲であることが分かります。

一方、「瞳のかげり」も『SUMMER BREEZE』、『Complete SINGLES BOX』、『30th Anniversary THE PERFECT SINGLES BOX』など、複数のアルバムに収録されています。これらのアルバムを通して、両楽曲が中山美穂の音楽活動において重要な役割を果たしていることが伺えます。

「クローズ・アップ」は、単なるアイドルソングとしてではなく、アーティストとしての成長を明確に示した作品と言えるでしょう。松本隆と財津和夫という才能との出会いが、中山美穂の音楽キャリアに大きな転換点をもたらしたことは間違いありません。そして、この曲は、今もなお多くのリスナーの心を魅了し続けています。

もう一度検索