クーゲルブリッツ

クーゲルブリッツ (Kugelblitz)

クーゲルブリッツは、第二次世界大戦中にドイツ国防軍によって開発された対空戦車であり、その名称は「球電現象」を意味するドイツ語に由来します。この戦車は、第三 Reich の軍事技術の進歩を象徴する逸品であり、実際には「Gerät556」や「Flakpanzerwagen604/4」とも呼ばれていました。

概要

クーゲルブリッツの開発にあたり、ドイツ国防軍は従来の戦車の車体に対空機関砲を載せるだけの簡素な設計ではなく、もっと本格的な対空戦車を目指しました。Uボート用に設計された303号3cm連装高射機関砲塔が転用され、改良が施されることになりました。この砲塔は、揺動式の構造を持ち、個別に上昇・下降を行う機関砲部分と、横方向に旋回する外郭が一体となったものでした。装備される3cm機関砲は、元々は航空機用であり、その連装化により650発/分という高い発射速度を誇ります。

1944年1月27日、アルケット社はUボート用の砲塔をそのままIV号戦車に搭載することができないとの報告を行い、戦車用に改修する必要があることがわかりました。このため、ダイムラーベンツ社に新たに設計が依頼されたのです。これに伴い、IV号戦車の車体にも各種変更が必要となりました。

新型対空戦車であるクーゲルブリッツは、過去の対空戦車の後継として、1944年4月からの開発が始まり、同年9月には量産に入る計画でしたが、開発は遅れが見られました。最初の prototypes が完成したのは1945年の2月であり、量産車も1945年3月にようやく2輌が完成しました。

量産の計画は、当初は月間30輌を生産する予定でしたが、IV号戦車の生産中止に伴い車台が変更されたため、再び遅延が生じました。最終的には数両が製造されるに留まり、試作車や少数の製造車は西部戦線やベルリンの防空戦に使用されましたが、具体的な戦歴に関する記録は残されていません。

構造

クーゲルブリッツの最も大きな特徴は、ドイツ軍として初めて完全密閉型の砲塔を備えたことです。従来の対空戦車、例えばメーベルヴァーゲンやヴィルベルヴィントと比較しても、構造的な違いが明らかです。この砲塔は球形をしており、最大20mmの装甲を持ち、上部には10mmから18mmの装甲が設けられ、周囲には30mmの装甲板が配置されています。

砲塔は360度回転が可能で、旋回速度は毎秒25度です。また、俯仰角は-7度から+80度まで変化可能で、俯仰速度は毎秒20度となっています。内部の球形砲塔は、乗員の動きに合わせて可動し、射手は射撃時に真上を向くことになります。

装備される機関砲はラインメタル MK103機関砲で、冷却と持続射撃を考慮して発射速度は425発/分に抑えられています。さらに、各機関砲の先端には多孔式マズルブレーキが備えられ、地面の塵が巻き上がるのを防ぐ工夫が凝らされています。砲塔内部には1,200発の弾薬が収納されるスペースがあり、弾薬は600発連結のベルトリンクとして装備されています。

車長は砲塔の後方に位置し、射撃を指揮する役割を担っています。機関砲の側面には各1人の砲手が位置し、射撃操作はフットペダルで行われます。ターレットリングはティーガーIタイプと同じ直径1,900mmのものへと変更されています。これにより、操縦手と無線手用のハッチも配置が変わり、より効率的な設計となっています。

まとめ

クーゲルブリッツは、その独自の設計理念と革新的な技術が反映された対空戦車であり、ドイツの戦車技術の一端を示す貴重なモデルとなっています。多くの課題に直面しつつも、1945年の末期には、一部が戦場で実践的に活用されたことが確認されています。

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