クールラント軍集団

クールラント軍集団について

クールラント軍集団（Heeresgruppe Kurland）は、第二次世界大戦の東部戦線においてドイツ国防軍の中核を成した軍集団であり、1944年にソビエト赤軍の攻勢によりクールラント半島に包囲されてからその存在が顕在化しました。この軍集団は主に第16軍と第18軍から構成されており、ドイツ本国の降伏までの間、包囲戦の中で耐え続けました。

軍集団の設立と歴史

クールラント軍集団は1944年10月10日に設立されました。当時、ソビエト赤軍はバルト海に至る攻撃を開始し、北方軍集団が行動を制限される中、ドイツ軍の多数の師団がラトビアとクールラント半島に閉じ込められました。この状況が後に「クールラント・ポケット」と呼ばれることになります。

同年の1月25日、アドルフ・ヒトラーの命令により、北方軍集団は改名され、クールラント軍集団として知られるようになりました。この変更により、では北方軍集団がクールラント軍集団に、中央軍集団が北方軍集団に、A軍集団が中央軍集団にそれぞれ変わることになりました。

包囲戦の展開

クールラント軍集団は、バルト海沿岸にあるUボート訓練基地を守ることが主要な目的でした。ソビエト赤軍は彼らに対して本格的な攻撃をそれほど行わなかったため、彼らの戦力は長らく不明のままでしたが、24〜31個の師団が存在していたことが示されています。しかし、強力な敵軍に囲まれ、背後には海が広がっていたため、退却や転進は不可能でした。

包囲された後、クールラント軍集団では、1944年秋から1945年春にかけて6回の大規模な戦闘が行われました。特に1945年5月7日には、ドイツ大統領カール・デーニッツがクールラント軍集団に対して降伏を命じました。この時、彼らの司令官カール・ヒルペルトは部隊に停戦の合意を伝え、白旗を掲げるよう指示しました。

降伏とその後

5月8日、クールラント軍集団はソビエト赤軍に降伏しました。この際、降伏によって188,000人以上の将兵が捕虜となり、物資も大量に引き渡されました。特に、航空機や戦車、火器が含まれた物資の引き渡しは、結束の破綻を物語っています。降伏後、捕虜たちはおおむねソ連の捕虜収容所へ送られることとなり、彼らの多くの運命は厳しいものでした。

降伏後も一部の兵士は義勇軍として活動を考えたものの、ソ連によって早々に鎮圧され、許されることはありませんでした。ソ連はクールラントの再占領を進め、ドイツ人の住民を戻すつもりは全くないことを明らかにしていました。結果的に、わずかに生き延びた者たちの中には、エストニアやラトビアの独立を求めてゲリラ活動を行う者たちもいました。

司令官の変遷

クールラント軍集団は、戦局の変化に応じて複数の司令官を持ちました。1945年の初めから降伏に至るまで、ロタール・レンデュリック、ハインリヒ・フォン・フィーティングホフ、再任されたレンデュリック、そしてカール・ヒルペルトが指揮を取っていました。

このようにクールラント軍集団は、第二次世界大戦の終息に向かう中で重要な役割を果たしました。彼らの耐え抜いた戦いは、戦争の終結とその後の歴史においても色濃い影を落としています。

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