クールー (フランス領ギアナ)

クールー：南アメリカの宇宙拠点

クールー（Kourou）は、南アメリカフランス領ギアナの北部に位置する重要なコミューンであり、名高いギアナ宇宙センターの所在地として広く知られています。この地域は、首都カイエンヌから約50kmの距離にあり、アクセスの良さからも注目される場所です。

地理と自然環境

クールーはクールー川の河口に位置し、周辺には小さな湖が点在しています。地域の気候は熱帯雨林気候で、湿度が高く非常に蒸し暑いのが特徴です。また、熱帯雨林に加えて乾燥したサバンナも見られるなど、自然環境は多様です。この独特な地理は、古くから様々な人々の生活に影響を与えてきました。

歴史の歩み

クールーの歴史は18世紀にさかのぼります。イエズス会の宣教師たちがカイエンヌからこの地に赴き、先住民のカリナ族への布教活動を行うために定住地を設けました。しかし、1762年のイエズス会の追放に伴い、彼らの共同体は崩壊してしまいます。探検家たちが訪れた頃には、修道士たちが住む小さな家だけが残されていました。

1854年から1944年には、クールーはフランスの海外流刑地として利用され、多くの政治犯や凶悪犯がこの地に送られました。囚人たちは高湿度の熱帯雨林気候に苦しみ、生き残る者は少なかったといいます。19世紀には、フランス人15,000人が「黄金郷エル・ドラード」を求めてここに移住し、街を築きましたが、僅か2年後には疫病と飢饉が原因で全員が命を落とすという悲劇が起こりました。その後、少数の先住民がひっそりと生き延びるだけの小さな町となりました。

現在のクールー

20世紀中頃までは人口が800人程度で主要な産業も存在しない静かな町でしたが、1967年にフランスがクールーをアリアン・ロケット発射の拠点として選定し、ギアナ宇宙センターを開設したことで状況は一変しました。宇宙産業の発展に伴い、クールーの人口は急増し、現在では15,000人以上の人々が暮らす活気ある町となりました。

宇宙センターの運営には多くの人材が関与し、クールーは国際的な宇宙関連産業の中心地としての地位を築いています。また、ロケット基地の安全を守るために、フランス外人部隊の第3外人歩兵連隊がこの地に駐留しており、地域の安全にも貢献しています。

このように、クールーは歴史的背景や地理的特徴、そして宇宙産業の中心地としての顔を持つ多面的な町として、今後も注目され続けることでしょう。

もう一度検索