グアムグアムリクエスト

グアムグアムリクエスト

「グアムグアムリクエスト」は、かつて毎日放送（現在のMBSラジオ）で長きにわたり親しまれた、平日午後の時間帯を彩った音楽リクエスト番組です。1970年4月7日にその歴史をスタートさせ、足かけ10年の放送を経て、1980年4月1日に幕を閉じました。

番組名の由来と特徴

この番組の最も印象的な特徴は、そのタイトルにも冠されている「グアム」でした。番組内でリクエストが採用されたリスナーの中から、毎週抽選で1名に南海の楽園・グアム島への旅行がプレゼントされたのです。パーソナリティの象徴的なオープニングフレーズ「さぁ、グアム島があなたを待っています。毎週お1人を南海の楽園・グアム島へ御招待」は、多くのリスナーの期待を膨らませました。実際にグアム旅行を体験したリスナーが、帰国後に生放送中のスタジオに招かれ、旅の思い出を語ることもあったと言います。リクエストの応募は主にハガキで受け付けられていましたが、グアム旅行への招待を希望する場合には、確実に連絡が取れるよう、電話番号の記載が必須条件とされていました。

番組の正式名称は「空から街から歌謡曲～グアム・グアム・リクエスト～（そらからまちからかようきょく - ）」でしたが、一般には「グアムグアムリクエスト」あるいは「グァムグァムリクエスト」「グアム・リクエスト」といった短縮された名称で呼ばれることが多かったです。

番組の構成と歴史

本番組は毎日放送に所属する男性アナウンサーが、世代交代しながらパーソナリティを務める生放送形式でした。阪本時彦、板倉俊彦、松井昭憲、野村啓司、近藤光史、角淳一といった、当時のMBSを代表するアナウンサーたちがマイクの前に立ち、リスナーとの交流を深めました。アシスタントとしては、石川千加子、吉田和代、前川澄子などが担当していました。

放送時間は開始当初、平日の午後2時10分から午後4時35分まででしたが、その後何度か変更されました。当時のMBSラジオでは、春の選抜高等学校野球大会の全試合を中継する体制をとっていたため、大会期間中（主に3月下旬から4月上旬）には、当番組の放送枠で野球中継が優先されました。また、関西地方に本拠地を置くプロ野球球団（阪神タイガース、阪急ブレーブス、近鉄バファローズ、南海ホークス）の公式戦がデーゲームで行われる際にも、同様に試合中継が優先され、番組が休止や時間変更となることがありました。

番組は終了間際の1979年10月8日からは、同日スタートした大型生ワイド番組『やる気満々 ○○○○です』（平日の午後0時15分から午後4時25分）に内包される形で放送が継続されました。

番組内では、音楽リクエスト以外にも、様々なコーナーが設けられていました。「今日の空模様」「おまんた劇場」「ハーイ夕刊です」「コーヒータイム」「毎日ニュース」「道路交通情報」「お天気のお知らせ」「頑張れタイガース」といった多岐にわたるコーナーがあり、特に「おまんた劇場」には、1977年度の下半期限定で、西川のりおをはじめ、ザ・ぼんち（月曜）、Wヤング（火曜）、オール阪神・巨人（水曜）、月亭八方（木曜）、桂文福（金曜）といった当時の人気漫才師や落語家が日替わりで出演し、番組に彩りを添えていました。

後世への影響

「グアムグアムリクエスト」でパーソナリティを務めたアナウンサーたちは、番組終了後もMBSラジオの平日午後から夕方の生ワイド番組の顔として活躍を続けました。角淳一は『すみからすみまで角淳一です』を、野村啓司は『なにはなくとも野村啓司です』を担当するなど、この番組の流れを汲む形でMBS午後の看板番組が受け継がれていきました。そして、近藤光史がフリーアナウンサーとなってパーソナリティを務める『こんちわコンちゃん』シリーズ（2002年10月2日放送開始）へと繋がり、MBSラジオの平日午後帯の歴史において、本番組が果たした役割の大きさを物語っています。長年にわたり、リスナーに夢と音楽、そしてグアム旅行のチャンスを提供した「グアムグアムリクエスト」は、MBSラジオの歴史に深く刻まれた番組と言えるでしょう。

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