グエン・カオ・キ

グエン・カオ・キ（阮高奇、ベトナム語：Nguyễn Cao Kỳ、1930年9月8日 - 2011年7月23日）は、ベトナム戦争当時の南ベトナムの政治家であり、同国の首相、副大統領、そして空軍司令官を歴任しました。

生涯

サイゴンで生まれたキは、フランス軍による飛行訓練を受けた後、1954年にベトナム国へ帰国。翌年の南ベトナム建国後に空軍へ入隊し、軍人としてのキャリアをスタートさせます。ズオン・バン・ミン大統領の下で順調に昇進を重ね、最終的には少将にまで昇りつめました。

1965年2月の軍事クーデターでグエン・カーン大統領が失脚すると、キは南ベトナム政府の実権を掌握。首相を経て、1967年にはグエン・バン・チュー大統領の下で副大統領に就任しました。チュー大統領と共に、アメリカの支援を受けながら北ベトナムや南ベトナム解放民族戦線と戦いましたが、後にチュー大統領との関係が悪化し、1971年に副大統領を辞任。政界から引退しました。

その後は政府 внешней の立場で活動を続けましたが、1975年4月30日のサイゴン陥落直前にアメリカ軍のヘリコプターでアメリカ海軍の揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」へ脱出し、アメリカへ亡命しました。

亡命先のアメリカでは、カリフォルニア州南部の「リトル・サイゴン」で貿易商や商店主として成功。香港にも支店を開設するなど、事業を拡大しました。また、アメリカを中心に講演活動も行いました。南ベトナムの元高官としては珍しく、ベトナムの共産党政権に対して融和的な意見を持っていたため、南ベトナムからの亡命者の中には彼と距離を置く人もいました。アメリカとベトナムが国交を正常化した後の2004年1月には、約30年ぶりに故郷の土を踏んでいます。

2011年7月23日、呼吸器疾患の治療のため入院していたマレーシアのクアラルンプールの病院で死去しました。80歳でした。

疑惑

軍人時代からアヘンなどの麻薬取引に関与していたという疑惑があり、ジャーナリストのマッコイは、CIAが運営していた航空会社「エア・アメリカ」の機材をキが麻薬運搬に使用したため、同社の運送プログラムから外されたと指摘しています。

グエン・カオ・キは、激動の時代を駆け抜けた人物でした。軍人として頭角を現し、政治家として南ベトナムを率い、亡命後は実業家として成功を収めました。その生涯は、ベトナム戦争という時代を象徴するものとして、今もなお語り継がれています。

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