グズリーズ・ソルビャルナルドーティル

グズリーズ・ソルビャルナルドーティル：伝説のノース人女性探検家

グズリーズ・ソルビャルナルドーティル（Guðríður víðförla Þorbjarnardóttir）は、10世紀末にアイスランドで生まれたノース人の探検家です。彼女は、「赤毛のエイリークのサガ」や「グリーンランド人のサガ」といったヴィンランド・サガに登場し、その冒険的な生涯が語られています。特に、夫のソルフィン・ソルザルソンと共にヴィンランド（現在の北アメリカ大陸の一部）に渡り、そこで息子スノッリ・ソルフィンソンを出産したことで知られています。スノッリは、アメリカ大陸で生まれた最初のヨーロッパ人の子供として歴史に名を刻んでいます。

生涯

「赤毛のエイリークのサガ」によれば、グズリーズはラウガルブレッカの首長ソルビョルンの娘として生まれました。彼女は成長するとエイナルという若者から求婚されますが、彼の父親が奴隷であったため、父親から結婚を許されませんでした。この出来事がきっかけとなり、彼女は父親と共にアイスランドを離れ、赤毛のエイリークの探検隊に加わってグリーンランドへと向かいます。しかし、航海は困難を極め、悪天候や疫病により多くの乗組員が命を落としました。

「グリーンランド人のサガ」では、グズリーズはノルウェー人商人のソーリルと結婚したとされています。レイフ・エリクソンは、彼女と15人の乗組員を救助し、グリーンランド南部のブラッタヒルズへと送り届けました。その後、彼女はレイフの勧めで夫と共にブラッタヒルズに住むことになりますが、その冬にソーリルは病死してしまいます。

「赤毛のエイリークのサガ」には、グズリーズがノース人の伝統宗教からキリスト教に改宗したエピソードが描かれています。ある冬の宴会で、彼女は父の魔法の儀式のために祝詞を唱える必要に迫られます。育ての母から祝詞を教わっていた彼女は、唯一の祝詞を知る女性でしたが、キリスト教徒であることから参加を拒否しました。しかし、父や他の参加者からの説得を受け、彼女は祝詞を披露することになります。この出来事は、彼女の信仰と伝統の間での葛藤を表しています。

どちらのサガでも、グズリーズはソルステイン・エリクソン（レイフの弟）と結婚しています。「グリーンランド人のサガ」では、彼女は夫と共にヴィンランドへ向かい、彼の弟の遺体を探す旅をします。その途中で、彼女の夫も病に倒れて亡くなってしまいます。

夫の死後、グズリーズはブラッタヒルズに戻り、商人のソルフィン・ソルザルソンと再婚します。「グリーンランド人のサガ」によると、彼女の説得により、2人は多くの男女と家畜を連れてヴィンランドへと旅立ちます。そして、ヴィンランドで彼女は息子スノッリを出産し、彼は西半球で生まれた最初のヨーロッパ人として知られるようになりました。

その後、グズリーズはグリーンランドに戻り、ソルフィンとの間に別の息子ソルビョルンをもうけます。「グリーンランド人のサガ」では、ソルフィンが亡くなった後、グズリーズは未亡人となり、キリスト教に改宗してローマへ巡礼に出かけます。ローマから帰国後、彼女は修道女となり、教会で隠者として生涯を終えました。

子孫

グズリーズの息子スノッリは、後に司教となるソルラック・ルノルソンや、初の司教ブランドの母となるイングヴィルドといった子孫に恵まれました。彼女の子孫は、アイスランドのキリスト教化に大きく貢献しました。

登場作品

グズリーズの生涯は、小説や漫画など、様々な作品で描かれています。

公正なグズリーズ：モーリス・ヒューレットの小説
海の道：マーガレット・エルフィンストーンの小説
* ヴィンランド・サガ：幸村誠の漫画

グズリーズ・ソルビャルナルドーティルは、その勇敢な探検と信仰心、そして彼女の血を引く子孫たちの活躍によって、アイスランドの歴史において重要な人物として記憶されています。

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