グラインドストーン

グラインドストーン：ケンタッキーダービーの栄光と長く続いた種牡馬生活

グラインドストーン(1993年1月23日 - 2022年3月22日)は、アメリカ合衆国の競走馬にして名種牡馬です。1996年のケンタッキーダービー制覇という輝かしい実績を残しましたが、その後の競走生活は長くは続かず、故障により早期引退を余儀なくされました。しかし、種牡馬として長きに渡り活躍し、多くの優秀な競走馬を輩出しました。彼の生涯を詳細に見ていきましょう。

誕生と競走馬時代

グラインドストーンは、ケンタッキーダービー博物館への寄贈馬として知られる種牡馬アンブライドルドと、スピナウェイステークス優勝馬バズマイベルとの間に生まれました。オーナーブリーダーであるウィリアム・ヤング氏のオーバーブルックファームで誕生した彼は、アンブライドルドの初年度産駒ということもあり、大きな期待を背負っていました。

2歳時は6月11日にデビュー戦を勝利で飾りましたが、その後は膝の故障により関節鏡下手術を受けるなど、順風満帆とはいえないスタートとなりました。しかし、名調教師ウェイン・ルーカス氏の指導の下、着実に力をつけていきました。関係者は、彼のダービー制覇を「奇跡」と評するほど、困難を乗り越えての成功だったのです。

3歳になると、ルイジアナダービーで重賞初制覇を飾り、自信をつけてケンタッキーダービーへと挑みます。同年のケンタッキーダービーには、既にG1競走3勝を挙げているアンブライドルド産駒のアンブライドルズソングが1番人気に推されていましたが、グラインドストーンは直線で外に持ち出し、粘る2番人気キャヴォニアをハナ差退けて優勝を掴みました。この勝利により、ルーカス調教師はアメリカクラシック三冠競走6連勝という偉業を達成することとなります。

しかし、この勝利が彼の競走生活における最後の輝きとなりました。ケンタッキーダービー勝利からわずか5日後、グラインドストーンの右膝に骨片が見つかり、競走馬としての引退が決定されました。彼の対戦相手の中には、プリークネスステークス馬、ベルモントステークス馬、さらには翌年のブリーダーズカップ・クラシック馬も含まれており、その強さが伺えます。また、彼はラシックスなどの利尿薬を使用せずにケンタッキーダービーを制したという点も特筆すべきでしょう。

種牡馬時代

競走馬を引退したグラインドストーンは、オーバーブルックファームで13年間種牡馬として供用されました。2004年には、彼の産駒であるバードストーンが、グラインドストーン自身が出走できなかったベルモントステークスを制覇するという快挙を達成しました。これは、父がケンタッキーダービーを制覇し、子がベルモントステークスを制覇したという、非常に珍しい事例です。

その後、獣医師ジャック・ルート氏によってオークハーストサラブレッズに移籍し、ケンタッキーダービー馬として初めてアメリカ合衆国北西部（ワシントン州、アイダホ州、オレゴン州）で供用されることとなります。8シーズンに渡って種牡馬として活躍した後、2018年に引退。2022年3月22日、老衰により死亡するまで、同地で繋養されました。存命中のケンタッキーダービー優勝馬としては最年長でした。

主要な産駒

グラインドストーンは、多くの優秀な競走馬を輩出しました。代表的な産駒として、バードストーン（ベルモントステークス、トラヴァーズステークス優勝）、エコルプレイス（グランシャリオカップ優勝）などが挙げられます。また、母父としての活躍も目覚ましく、カレンブラックヒル（NHKマイルカップなどG1を複数制覇）など、多くの活躍馬を送り出しました。

まとめ

グラインドストーンは、競走馬としては短い期間しか活躍できませんでしたが、ケンタッキーダービー制覇という輝かしい実績を残しました。そして、種牡馬としては長期に渡り活躍し、多くの優秀な産駒を残した名馬として、競馬史にその名を刻んでいます。彼の血統は、現代競馬においても重要な役割を果たし続けていると言えるでしょう。彼の生涯は、才能と努力、そして幸運が絡み合った、まさにドラマチックな物語です。

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