アンブライドルズソング

アンブライドルズソング：競走馬から伝説の種牡馬へ

アンブライドルズソングは、アメリカ合衆国で生産された競走馬にして、後に伝説的な種牡馬となったサラブレッドです。その名は、時にアンブライダルズソングと表記されることもあります。競走馬時代は、主戦騎手であるマイク・スミス騎手と共に全12戦を戦い抜き、その堂々たる体躯（体高173cm）で多くのファンを魅了しました。

驚愕の落札額とデビュー前の波乱

アンブライドルズソングの所有者であったパラネック・ステーブルは、1994年のサラトガ1歳セールでこの馬を20万ドルで購入しました。翌年には、藤田浩氏が当時世界最高額となる140万ドル（約1億4000万円）で落札を試みました。しかし、購入後に前肢の球節に剥離骨折が見つかり、取引はキャンセルされることとなりました。この出来事は、当時大きな話題となりました。

ダート界を駆け抜けた競走馬時代

1995年8月、アンブライドルズソングは競走馬としてデビュー。初戦で2着馬に8馬身半差をつける圧勝劇を演じ、その潜在能力の高さを示しました。続くシャンペンステークスでは、後にエクリプス賞2歳牡馬チャンピオンとなるマライアズモンに敗れ5着となりましたが、続くブリーダーズカップ・ジュヴェナイルでは見事G1競走初制覇を飾り、将来を嘱望される存在となりました。

3歳となった1996年には、G2競走で2度の2着を経験した後、フロリダダービーでG1競走2勝目を挙げます。続くウッドメモリアルステークスも制し、ケンタッキーダービーでは1番人気に推されましたが、同父馬であるグラインドストーンに敗れ5着に終わりました。その後もピーターパンステークスで2着に入るなど活躍を続けましたが、シガーとの対戦では9着と敗れ、シガーの17連勝をアシストすることとなります。この年、骨折による療養を挟みながらも、復帰戦で2着に入るなど、その強靭な闘志を見せつけました。

4歳となった1997年には、オリンピックハンデキャップを制し、通算5勝目を挙げましたが、このレースを最後に競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。

種牡馬として新たな伝説を刻む

1997年の春、アンブライドルズソングはケンタッキー州のテイラーメイドファームで種牡馬入りしました。その産駒は、父馬譲りのダート適性を活かし、数々の活躍馬を輩出しました。

特に1998年生まれの初年度産駒であるアンブライダルドエレインは、2001年のブリーダーズカップ・ディスタフを制覇するなど、その才能を早くから開花させました。その後も、数多くのG1競走馬や重賞競走馬が誕生し、その名を世界中に轟かせました。

さらに、その産駒であるソングアンドアプレイヤーやイーヴンザスコアなどは種牡馬としても成功し、ファピアノ系の主流系統を形成するまでに至りました。近年では、母の父としての活躍も著しく、2020年の日本ダービー馬コントレイルや、2009年のブルーグラスステークス馬ジェネラルクォーターズなどのG1競走馬を輩出しています。

日本にも30頭以上の産駒が輸入され、2001年にはフィエスタが中央競馬で初勝利を挙げました。ラヴェリータ（エンプレス杯、スパーキングレディーカップなど）、アグネスソニック（NHKマイルカップ2着）など、多くの活躍馬が日本の競馬界を盛り上げました。

突然の別れ

2013年7月25日、アンブライドルズソングは急性の神経症状により緊急搬送されました。検査の結果、腫瘍が視神経周辺まで達しており、治療不能と診断されました。そのため、安楽死の措置が取られることとなり、多くの関係者を悲しませることとなりました。

2017年には、アロゲートなど活躍馬を輩出したことにより、北米リーディングサイアーを獲得しました。アンブライドルズソングの功績は、今もなお語り継がれています。

主な産駒

アンブライドルズソングは、数多くの優秀な産駒を残しました。その中には、G1競走を制した馬や、種牡馬として成功した馬などが含まれています。以下に、特に著名な産駒をいくつか紹介します。

イーヴンザスコア (Even the Score): 2001年カリフォルニアンステークス、マーヴィンリロイハンデキャップ優勝。種牡馬としても成功。
ソングアンドアプレイヤー (Songandaprayer): 2001年ファウンテンオブユースステークス優勝。種牡馬としても成功。
アンブライダルドエレイン (Unbridled Elaine): 2001年モンマスブリーダーズカップオークス、ブリーダーズカップ・ディスタフ優勝。
アロゲート (Arrogate): 2016年ブリーダーズカップ・クラシック、2017年ペガサスワールドカップ、ドバイワールドカップ優勝。
* コントレイル: 2020年日本ダービー、皐月賞、菊花賞優勝。

血統と未来

アンブライドルズソングの母、Trolley Songは現役時代7戦1勝の成績でした。その血統背景には、数々の活躍馬が連なり、現代競馬においてもその影響は絶大です。彼の血を受け継ぐ馬たちは、これからも競馬界を彩り続けるでしょう。アンブライドルズソングという偉大な競走馬・種牡馬の物語は、競馬史に永遠に刻まれることでしょう。

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