グラバー園

グラバー園

グラバー園は、長崎県長崎市南山手町にある、幕末から明治期にかけて長崎に滞在した外国人たちの旧邸や、市内に残る歴史的建造物を移築した観光施設です。園内は、野外博物館のような趣で、異国情緒あふれる洋風建築が立ち並び、当時の長崎の国際色豊かな雰囲気を今に伝えています。世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産である旧グラバー住宅をはじめ、数多くの歴史的建造物が点在し、歴史と文化を肌で感じることができます。

主な建造物

旧グラバー住宅

グラバー園の中核をなす旧グラバー住宅は、木造平屋建てのコロニアル様式の建物です。イギリス人商人トーマス・ブレーク・グラバーが1863年に建築したもので、現存する日本最古の木造洋館として知られています。グラバーは、造船と採炭の技術を日本に導入し、グラバー商会を設立して貿易に携わりました。親日家であったグラバーは、日本人女性ツルを妻とし、日本で生涯を終えました。

旧グラバー住宅は、T字形の複雑な平面構成を持ち、中央の寝室を中心に、応接室、大食堂などが配置されています。ベランダから各部屋に出入りするスタイルも特徴的です。創建当初は小規模な建物でしたが、その後増改築を重ね、現在の形になりました。外壁は漆喰塗り、小屋組は和小屋とするなど、和洋折衷のデザインも魅力です。1961年に国の重要文化財に指定され、近年大規模な修復工事が行われ、創建当時の姿に復元されています。

旧リンガー（弟）住宅

旧リンガー（弟）住宅は、グラバー商会の幹部であったフレデリック・リンガーの邸宅で、木造平屋建て、寄棟造のコロニアル様式の建物です。リンガーは、茶の製造や輸出、木材の輸入を手がけました。建物は西を正面とし、玄関から廊下を挟んで、応接室、居間、寝室、食堂が配置されています。ベランダには、トスカナ式の角柱が使われ、内装には大理石のマントルピースが見られます。1966年に国の重要文化財に指定されています。

旧オルト住宅

旧オルト住宅は、イギリス人商人ウィリアム・ジョン・オルトの邸宅で、木造平屋建てのコロニアル様式の建物です。オルトは、製茶所を経営していました。建物は長方形で、廊下を挟んで応接室、玄関ホール、食堂、夫人室などが配置されています。ベランダとポーチには、トスカナ式の円柱が使われています。外壁は天草石張り、小屋組は和小屋です。1972年に国の重要文化財に指定されています。

移築された建造物

グラバー園には、旧グラバー邸以外にも、以下のような歴史的建造物が移築されています。

旧ウォーカー住宅: ウォーカー商会創設者の旧邸。
フリーメイソン・ロッジの門: フリーメイソンのシンボルが刻まれた門。
旧三菱第2ドックハウス: 船員の休憩宿泊施設として建てられた建物。
旧長崎高商表門衛所: 長崎高等商業学校の創立時の建物。
旧長崎地方裁判所長官舎: 居留地外から移設された建物。
旧スチイル記念学校: スチイル記念学校の校舎。
* 旧自由亭: 西洋料理店の建物。

歴史

グラバー園は、1957年に三菱重工業長崎造船所からグラバー邸が長崎市に寄贈されたことをきっかけに一般公開されました。その後、周辺の旧邸や歴史的建造物が移築され、現在の姿になりました。園内は、高台にあるため、長崎の美しい景色を一望できます。また、ハート型の敷石（ハートストーン）が園内に3箇所あり、見つけて触れると恋愛が成就するという言い伝えがあり、若い男女に人気です。

交通アクセス

グラバー園へのアクセスは、路面電車やバスが便利です。路面電車の場合は、「大浦天主堂」または「石橋」電停で下車します。バスの場合は、「松ヶ枝国際ターミナル」または「大浦天主堂下」バス停で下車します。園内は、バリアフリー対策がされており、車椅子でも移動できるようになっています。

グラバー園は、長崎の歴史と文化を体感できる魅力的な場所です。ぜひ一度訪れて、異国情緒あふれる雰囲気を楽しんでみてください。

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