大浦天主堂

大浦天主堂

大浦天主堂は、長崎県長崎市にあるカトリック教会で、日本に現存するキリスト教建築としては最古のものです。1864年（元治元年）に竣工し、正式名称を「日本二十六聖殉教者聖堂」といいます。これは、1597年に長崎で殉教した26人の聖人に捧げられた教会堂であることを示しており、殉教地である西坂に向けて建てられています。

歴史

創建

1862年、フランス人宣教師フューレ神父が長崎に赴任し、教会堂の建設に着手しました。1863年にはプティジャン神父が加わり、建設を推進。1864年12月29日に大浦天主堂は竣工し、1865年2月19日に献堂式が行われました。この際、教区長ジラール神父が宣教師プティジャン、ロカーニュを従え、式典を執り行いました。この献堂式には、居留外国人や長崎港に停泊していた各国の艦長も参列しました。大浦天主堂の設計はフューレとプティジャンが担当し、施工は大工棟梁の小山秀之進が行いました。

信徒発見

1865年3月17日、大浦天主堂を訪れた浦上の潜伏キリシタンが、プティジャン神父に自分たちが信仰者であることを告白しました。これは「信徒発見」として知られ、隠れて信仰を守ってきた人々が、初めて公に信仰を表明した瞬間でした。この出来事は「東洋の奇蹟」と称えられ、カトリック教会では記念日となっています。

増改築と変遷

1875年から1879年にかけて、大浦天主堂は大規模な増改築が行われました。この改築で、外壁が煉瓦造に変更され、ゴシック様式が強調されました。創建当初の姿からは大きく変化し、現在の美しい姿になりました。1891年にはカトリック長崎司教区の司教座聖堂となりましたが、1962年に浦上教会に変更されています。

近代

1933年に国宝に指定され、1945年の長崎原爆では破損したものの、倒壊は免れました。1952年に修復が完了し、1953年に改めて国宝に指定されています。1962年には日本二十六聖人列聖100年祭が、1965年には創建100周年記念式典と信徒発見100周年記念祭が盛大に執り行われました。2016年には日本初の小バシリカに指定され、2018年には世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産として登録されました。

現在

現在、大浦天主堂は信仰の場であるとともに、多くの観光客が訪れる観光スポットとなっています。1975年には、隣接地にカトリック大浦教会が建てられ、日々のミサはこちらで行われています。これにより、観光客と信者双方に配慮した運営が行われています。

建築様式

大浦天主堂は、創建時は3本の塔を持つゴシック様式でしたが、正面中央の壁面にはバロック様式も取り入れられていました。外壁はなまこ壁という特殊な意匠でしたが、増改築を経て、煉瓦造りのゴシック様式に変化しました。2007年には、建立当初の設計図が発見され、屋根が瓦ぶきであったことなどが判明しています。

信徒発見とその後

信徒発見後、プティジャン神父は長崎周辺の隠れキリシタンの発見に尽力しました。この出来事は、当時の教皇ピオ9世にも伝えられ、「東洋の奇蹟」と称賛されました。信徒発見の日は、カトリック教会で任意の記念日となり、日本では「日本の信徒発見の聖母」の祝日となっています。

所在地とアクセス

所在地:
〒850-0931 長崎県長崎市南山手町5-3

アクセス:

• - 長崎電気軌道5号系統「大浦天主堂」電停下車、徒歩5分
• - 長崎バス「松ヶ枝国際ターミナル」バス停下車、徒歩5分

大浦天主堂へは、坂道を上った後、さらに石段を上る必要があります。駐車場はないため、公共交通機関の利用が推奨されます。

周辺施設

大浦天主堂の周辺には、旧羅典神学校、旧長崎大司教館、南山手、グラバー園などがあります。これらの施設と合わせて観光を楽しむことができます。

その他

大浦天主堂は、日本におけるキリスト教の歴史と、隠れキリシタンの信仰を伝える重要な文化財です。その美しい建築と歴史的背景から、多くの人々にとって特別な場所となっています。



参考文献

国宝 大浦天主堂 公式サイト
「日本二十六聖人列聖100年記念式典」1962年6月10日

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