グラントスタンド

グラント・グリーンのアルバム『グラントスタンド』（Grantstand）は、1961年にレコーディングされ、1962年に世に送り出されたスタジオ作品です。アメリカを代表するジャズギタリスト、グリーンのキャリアにおいて重要な位置を占める一枚として知られています。

このアルバムの制作には、オルガニストのジャック・マクダフがサイドマンとして参加しています。当時、マクダフはプレスティッジ・レコードの専属アーティストであり、グリーン自身も本作に先んじて、マクダフのリーダー作である『ザ・ハニードリッパー』や『グッドナイト、イッツ・タイム・トゥ・ゴー』といった作品にギタリストとして参加していました。こうした共演の経験が、本作での息の合ったプレイに繋がっていると言えるでしょう。

参加ミュージシャンは、リーダーであるグラント・グリーンがギターを担当。その他の面々として、テナー・サクソフォーンとフルートを兼任するユセフ・ラティーフ、ハモンドオルガンのジャック・マクダフ、そしてドラムスを担当するアル・ヘアウッドが名を連ねています。彼らのアンサンブルが、アルバム独特のサウンドを生み出しています。

本作の音楽性については、各方面から高い評価が寄せられています。音楽レビューサイト、オールミュージックでは5点満点中4点の評価を得ており、レビューを担当したスティーヴ・ヒューイは、アルバム全体の印象について「特に印象的なのはその強力なグルーヴ感だ」と指摘しています。グリーンの得意とするソウル・ジャズ・スタイルが存分に発揮されており、ヒューイは「もしグラント・グリーンのソウル・ジャズ・スタイルにおけるグルーヴあふれるプレイを求めているのであれば、本作はまさに理想的な選択肢となるだろう」と推薦しています。

オリジナルのLP盤に付属するライナーノーツには、著名な評論家ナット・ヘントフによる詳細な解説が掲載されています。ヘントフは、ジャック・マクダフのオルガン演奏に注目し、「本作における彼のプレイは、普段よりもかなり穏やかに響く」と評しています。多くのエレクトリック・オルガン奏者が音量の強弱を強調するあまり、リスナーにとって耳に刺激的な演奏になりがちな状況と比較し、マクダフのアプローチは「称賛すべき抑制が効いており、深い味わいを湛えている」と賛辞を送っています。また、収録曲の中から、ロレンツ・ハートとリチャード・ロジャース作曲のスタンダードナンバー「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を挙げ、「グラント・グリーンのバラード演奏の中でも、これまでで最も印象的なものの一つだ」と特筆するなど、各プレイヤー、各楽曲に対する具体的な評価を記しています。

収録曲は以下の通りです。

グラントスタンド - "Grantstand"（グラント・グリーン作） - 9:03
マイ・ファニー・ヴァレンタイン - "My Funny Valentine"（ロレンツ・ハート、リチャード・ロジャース作） - 9:06
ブルース・イン・モーズ・フラット - "Blues in Maude's Flat"（グラント・グリーン作） - 15:00
オールド・フォークス - "Old Folks"（デデット・リー・ヒル、ウィラード・ロビンソン作） - 4:11

なお、リマスターされたCD盤などでは、ボーナス・トラックとしてグラント・グリーン作曲の「グリーンズ・グリーネリー」（Green's Greenery）が追加収録されている場合があります（演奏時間 5:10）。

本作は、グラント・グリーンがソウル・ジャズの世界で発揮した才能と、共演者たちとの優れたインタラクションを示す代表作として、今日でも多くのジャズファンに聴き継がれています。

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