グランド・ジョラス

グランド・ジョラス：アルプスにそびえる難峰

グランド・ジョラス（Grandes Jorasses）は、アルプス山脈のモンブラン山塊に位置し、フランスとイタリアの国境を分けるようにそびえ立つ標高4,208mの山です。その威容は、登山家たちの挑戦の歴史と深く結びついています。

グランド・ジョラスの概要

約1kmに及ぶ頂稜には、以下の6つの主要な頂があります。

ウォーカー峰 (4,208m)：最高峰
ウィンパー峰 (4,184m)
クロ峰 (4,110m)
エレーヌ峰 (4,045m)
マルグリット峰 (4,066m)
ヤング峰 (3,996m)

これらの峰々は、それぞれが独自の表情を持ち、登山ルートの多様性にも貢献しています。

初登頂と北壁の歴史

ウィンパー峰は1865年にエドワード・ウィンパーらによって、そして最高点のウォーカー峰は1868年にホレス・ウォーカーらによって初登頂されました。グランド・ジョラスの北壁は、アイガー、マッターホルンと並び、ヨーロッパ三大北壁の一つとして知られています。その中でも、特にウォーカー側稜は難易度が高く、数々のドラマを生み出してきました。

1938年には、リカルド・カシン率いる登山隊がウォーカー側稜の初登攀に成功。その後、長谷川恒男と森田勝が冬季北壁単独世界初登攀を競い合う舞台にもなりました。しかし、三大北壁の中では知名度こそ低いものの、難易度は最難関と言われ、森田勝はこの山で命を落としています。

北壁登攀の歴史

グランド・ジョラス北壁は、多くの登山家たちの挑戦の舞台となってきました。以下にその歴史をまとめます。

1907年：ジョフリー・ウィンスロープ・ヤングとヨゼフ・クヌベールが北壁周辺を初めて偵察。
1928年：アルマン・シャルレとエヴァリスト・クルーがウォーカー側稜の本格的な試登を初めて行い、3300mのスラブまで到達。
1931年：二つのドイツ隊が試登を行うが、二人が墜落死する。
1933年：ピエロ・ザネッティ、ジュスト・ジェルヴァズッティがクロ側稜を試登し3500mまで到達。
1934年：アルマン・シャルレ、ロベール・グレローズがクロ側稜3600mまで到達。
1935年6月28日：マルティン・マイアー、ルドルフ・ペータースがクロ側稜を初登攀。
1938年8月1日：ピエール・アラン、レイモン・レイナンジェがアラン・クラックを見出し、初めてウォーカー側稜3300m地点のスラブを突破。
1938年8月6日：リカルド・カシン、ルイジ・エスポジト、ウゴ・ティッツォーニがウォーカー側稜を初登攀。
1945年7月17日：エドゥアール・フレンドとガストン・レビュファがウォーカー側稜を第二登。
1963年：ヴァルテル・ボナッティ、コジモ・ザッペリがウォーカー側稜冬季初登攀を達成。
1964年：ヴァルテル・ボナッティ、ミシェル・ボーシュがウィンパー側稜を初登攀。
1966年：伊佐忠義、石井重胤、伊藤敏夫がウォーカー側稜を日本人として初めて登攀。
1967年7月22日：高田光政が日本人として初めてアルプス三大北壁の全登頂に成功。
1969年7月23日：齋藤雅巳が北壁ウォーカー稜を単独で第二登。
1971年7月17日：今井通子が登攀し、女性初のアルプス3大北壁制覇を達成。
1979年3月4日：長谷川恒男がウォーカー稜冬季単独初登攀を達成。
1982年：山野井妙子、笠松美和子が北壁ウォーカー稜を女性として冬季初登攀。

これらの記録は、グランド・ジョラスが登山家たちにとって特別な存在であることを示しています。

関連項目

山の一覧

グランド・ジョラスは、その美しい姿と厳しい自然環境で、これからも多くの登山家たちを魅了し続けるでしょう。

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