グリゴリ

グリゴリとエグリゴリ：堕天使の物語

グリゴリ（Grigori）またはエグリゴリは、旧約聖書の偽典『エノク書』に登場する堕天使の集団で、その名は「見張る者」を意味します。彼らは、神からの使命を受けた存在だったにもかかわらず、最終的には堕落し、人間の世界に悪影響を及ぼすこととなります。

堕天使との誓い

『エノク書』の第6章によると、200人の天使がヘルモン山に集まりました。この天使の集団のリーダーはシェムハザであり、アラキバやラメエルなど他の20名がその指導者となりました。彼らは互いに誓いを交わし、人間の娘たちを妻として迎え入れることを決意します。この行動は、神から与えられた使命を無視し、禁じられた行為に足を踏み入れることを意味しました。

禁じられた知識の授与

これらの堕天使は、地上の人々に対してさまざまな禁じられた知識を教授しました。武器の作り方や、化粧技術、さらには呪術や占星術など、彼らが教えたことによって人々は争いを覚え、悪行が蔓延することになります。男性は武器を使って他者と争い、女性は化粧によって男性に媚びる術を学ぶこととなり、社会全体が堕落していく様子が描かれています。

巨人ネフィリムの誕生

堕天使と人間女性との間に生まれた子どもたちは、身の丈が3000キュビト、すなわち約1350メートルにも及ぶ巨人、ネフィリムでした。彼らは地上の作物や動物、人間を襲い、最終的には仲間同士での共食いを始めるまでに至ります。これは、堕天使たちの行動がいかに人間社会に多大な影響を与えたかを物語っています。

天使たちの介入

やがて、膨れ上がった暴力と堕落の声が神に届き、四人の大天使、ミカエル、ガブリエル、ウリエル、ラファエルが地上を見下ろすことになります。彼らは地上で起きている暴虐を目撃し、神は大洪水の計画を立てます。ただ一人、ノアとその家族だけは救われることとなり、ウリエルが彼らを守る使命を帯びます。

最後の審判

ラファエルは堕天使アザゼルを特定の場所に閉じ込めるよう命じられ、ガブリエルは堕落した存在たちを相争わせ、ミカエルはシェムハザたちを地下に封じ込める役割を担います。これによって、堕天使たちの支配は終わりを告げることになり、神の意志が地上に再び明らかにされることとなります。

まとめ

グリゴリ（エグリゴリ）の物語は、堕天使の誕生から人間への悪影響、さらには神への反抗の末路を描いたものです。この物語は、知識や技術がもたらす影響について考えるきっかけとなり、人間社会における倫理や道徳について考察する重要な題材でもあります。

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