グリトビケン

グリトビケンは、南大西洋に位置するイギリス海外領土、サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島のサウスジョージア島に存在する最大の停泊地です。その名前は、「壷の湾」を意味するスウェーデン語「Grytviken」に由来します。1902年、スウェーデンの地質学者ユハン・アンデショーンが、この地でイギリス人が残した海獣油を保存するための壷を発見したことが、この地名の起源となっています。

1904年11月16日、グリトビケンは本格的な鯨油基地としてその歴史をスタートさせました。初期の鯨油採取は驚くべき成功を収め、195頭もの鯨から油が抽出されました。その後、ゾウアザラシの油採取も開始され、グリトビケンは最盛期を迎え、約300人の人々がここで働いていました。しかし、60年が経過するにつれて鯨の捕獲量が減少し、基地は徐々に衰退していきました。1922年には、この地を訪れていた探検家アーネスト・シャクルトンが急逝し、グリトビケンに埋葬されることとなりました。

1982年4月上旬、フォークランド紛争の際、アルゼンチン軍によってグリトビケンは一時的に占領されました。しかし、約3週間後にはイギリス海兵隊が再上陸し、この地を取り戻しました。

気候に関しては、ケッペンの気候区分でツンドラ気候（ET）に分類されます。これは、年間を通して寒冷な気候であることを意味しています。

現在、グリトビケンには、グリトビケン捕鯨博物館、1999年に実際に結婚式が行われたノルウェー・ルター派教会、そしてアーネスト・シャクルトンの墓などの施設が存在します。これらの施設以外にも、放棄された家屋、鯨油関連施設、そして廃船が数多く残っており、この地の歴史を物語っています。

住民としては、グリトビケン捕鯨博物館の管理人として2名が居住しています。

グリトビケンは、南極大陸を訪れるクルーズ船の人気の寄港地となっています。訪れる観光客の多くは、探検家シャクルトンの墓を見学することを目的としています。

グリトビケンは、その歴史と自然、そして探検家シャクルトンの足跡が交錯する、非常に魅力的な場所と言えるでしょう。

グリトビケンで見られるもの

グリトビケン捕鯨博物館
この博物館では、かつての捕鯨基地の歴史や、捕鯨産業に関する展示を見ることができます。当時の様子を伝える写真や道具などが展示されており、グリトビケンが果たした役割を深く理解することができます。

ノルウェー・ルター派教会
1999年に結婚式が執り行われたこの教会は、今もその美しい姿を保っています。小さな教会ですが、歴史的な雰囲気が漂っており、訪れる人々に静かな感動を与えます。

アーネスト・シャクルトンの墓
南極探検の英雄であるアーネスト・シャクルトンが眠る場所です。多くの観光客が彼の功績を偲び、静かに手を合わせます。墓標には「私は不屈の精神を持つ」と記されています。

廃墟となった捕鯨関連施設
かつて鯨油を生産していた工場や施設は、時が止まったかのようにそのまま残っています。これらの施設は、かつてのグリトビケンの活気を物語る証拠であり、歴史の重みを感じさせます。

放棄された家屋
かつてここで働いていた人々が住んでいた家屋も、廃墟となって残っています。これらの家屋は、当時の人々の生活を垣間見ることができる貴重な存在です。

廃船
海岸には、かつて活躍した捕鯨船や運搬船が朽ち果てた姿で横たわっています。これらの廃船は、グリトビケンの歴史を語る重要な要素となっています。

グリトビケンは、過去と現在が交錯する不思議な場所です。歴史的な建造物や遺構が残る一方で、自然の美しさも堪能できます。南極クルーズの際には、ぜひ訪れてその魅力を体験してみてください。

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