グリーゼ341

グリーゼ341（TOI-741）の概要

グリーゼ341はりゅうこつ座の方向、地球からおよそ34光年という比較的近い距離に位置する赤色矮星です。この恒星は、TOI-741という別の名称でも知られています。TOIはTESS Object of Interestの略称で、NASAのトランジット系外惑星探索衛星TESSによる観測で周囲に惑星候補が検出された天体に与えられる符号であり、この名称からも惑星系の存在が示唆されていました。

恒星としての特徴

グリーゼ341は太陽と比べてかなり小規模な恒星です。その大きさは太陽の約48%、質量はおよそ51%にあたります。表面の有効温度は約3800 Kと、太陽（約5778 K）よりも低温です。見かけの明るさを示す等級は9.5であり、これは肉眼で容易に観測できる明るさの限界よりもかなり暗いため、特別な観測装置なしで直接視ることはできません。しかし、小型の望遠鏡を使えば観測することが可能です。

研究の歴史と位置

この恒星は、太陽系からの距離が近いこと、固有運動（天球上を移動する見かけの速さ）が大きいこと、そして測光観測や視線速度測定における標準星として利用できるという特性から、過去にわたり多くの研究者によって観測されてきました。夜空における位置としては、南天にみられるニセ十字と呼ばれる星の並びの近く、特はりゅうこつ座ι星の近傍に位置しています。過去には、分光連星である可能性が指摘されたこともありましたが、その後の精密な観測によって、この可能性は否定されています。

近隣の恒星環境

グリーゼ341の周囲には他の恒星系も存在します。最も近い恒星は、約2.5光年離れた赤色矮星ルイテン140-289です。また、比較的近い距離にある別の恒星としてTOI-175（ルイテン98-59）があり、この恒星の周囲からはこれまでに4つの太陽系外惑星が確認されています。グリーゼ341は、これらの近隣の恒星系とともに、太陽系周辺の恒星環境を理解する上で重要な研究対象となっています。

発見された惑星系

天文学的な観測の進展により、グリーゼ341の周囲には惑星が存在することが明らかになりました。特に、2024年1月11日には、この恒星の周囲を公転する一つの惑星、グリーゼ341b（またはTOI-741 b）が発見されたと報告されました。この惑星は、地球に近いサイズを持つ「地球型惑星」であると考えられており、その発見はグリーゼ341星系が複数の惑星を持つ可能性や、地球型惑星の形成・進化を研究する上で重要な手がかりとなると期待されています。

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