グリーン・ベレーのバラード

悲しき戦場（グリーン・ベレーのバラード）

「悲しき戦場（グリーン・ベレーのバラード）」は、アメリカ陸軍の精鋭、グリーン・ベレーを題材としたバラード調の軍歌です。バリー・サドラーが作曲、ロビン・ムーアが作詞に協力し、1966年に発表されました。

概要

1960年代、ベトナム戦争への反戦機運が高まる中、この曲は珍しく軍を肯定する内容でした。しかし、発表されるやいなや、ビルボードチャートで5週連続1位を獲得する大ヒットとなりました。

歌詞は、1962年にベトコンによって処刑されたグリーン・ベレー隊員、ジェームズ・ガブリエル・ジュニアに捧げられています。曲のモチーフはアメリカ民謡『ブッチャー・ボーイ』です。バリー・サドラーはエド・サリヴァン・ショーでこの曲を歌い、テレビデビューを果たしました。

現在でも、グリーン・ベレーをはじめとする陸軍部隊の式典で演奏されることがあります。また、テキサスA&M大学のマーチングバンド、Fightin' Texas Aggie Bandが演技に使用する行進曲の一つとしても知られています。

反響

1966年当時、ベトナム戦争への国民の支持は失われつつあり、反戦運動が広がっていました。音楽市場では、ママス&パパスの『夢のカリフォルニア』がヒットしていました。そのような状況下で、『悲しき戦場』は1966年のビルボードチャートで5週連続1位を獲得し、年間ランキングでも21位となりました。イージーリスニング部門とカントリーミュージック部門でもそれぞれ1位と2位を獲得しています。

当時、アメリカの音楽界はブリティッシュ・インヴェイジョンによって席巻されていましたが、『悲しき戦場』はシングルとアルバムを合わせて900万枚を売り上げ、全米チャート1位を獲得しました。ビートルズとローリング・ストーンズの当時の最高位を上回る記録です。

映画での使用

1968年、ロビン・ムーアの小説を原作とした映画『グリーン・ベレー』が公開されました。ジョン・ウェインが主演・監督を務め、ケン・ダービー合唱団が編曲した『グリーン・ベレーのバラード』がメインテーマとして使用されました。この映画版編曲のスコアは長らくリリースされませんでしたが、2005年にオンライン映画音楽雑誌『Film Score Monthly』によってリリースされました。

また、映画『アメリカン・グラフィティ2』や『ジョン・キャンディの大進撃』などの挿入歌としても使用されています。近年では、2002年の映画『ショウタイム』や『Jesus' Son』でも耳にすることができます。テレビドラマ『チアーズ』のあるエピソードでは、登場人物がこの歌を歌い、愛国心を表現するシーンがありました。

カバーとパロディ

『グリーン・ベレーのバラード』は、発表以来、多くのアーティストによってカバーされています。ケイト・スミスやデュアン・エディといった著名な歌手から、無名のアーティストまで、様々なバージョンが存在します。

特に、外国では各国の特殊部隊を題材とした替え歌が多く作られました。例えば、ドイツ語版の『Hundert Mann und ein Befehl（100人と1つの命令）』は、反戦歌としてヒットしました。オランダ王国陸軍コマンドー軍団(KCT)では、英語の歌詞の一部をオランダを称える内容に置き換えて歌っています。また、ローデシアや南アフリカでも、それぞれの軍隊を題材としたカバーが存在します。

パロディ作品も存在します。ボブ・シーガーが所属していたバンドは、徴兵忌避者を揶揄する替え歌を発表しましたが、後に回収されました。また、サタデー・ナイト・ライブのエピソードでは、イラン・コントラ事件を風刺する替え歌が使用されました。映画『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ|ウワサの真相_ワグ・ザ・ドッグ』では、架空の特殊部隊の隊歌としてパロディが使用されています。

『悲しき戦場（グリーン・ベレーのバラード）』は、時代背景を反映し、様々な形で人々に影響を与え続けている楽曲です。

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