グルホシネート

グルホシネート（Glufosinate）

グルホシネートは、自然界でストレプトマイセス属の特定の土壌細菌によって生成される、広範囲にわたる除草剤です。本物質は、特に除草作用を持つアンモニウム塩として販売されることが一般的です。化学的には、抗菌性や抗真菌性を持つアミノ酸系の除草剤で、グルタミン酸に似た構造を持つホスフィノスリシンとしても知られています。

作用機序

グルホシネートは、非選択的で全身的な作用を持つ接触除草剤で、植物内のグルタミン合成を妨げ、アンモニアの蓄積を促進します。これにより、植物の光合成が停止し、最終的に植物が枯死します。特に、グルタミンシンテターゼという酵素を不可逆的に抑制することで、グルタミンの生成を阻害し、抗菌・抗真菌特性を示します。

発見の歴史

グルホシネートは1960年代から1970年代初期に、テュービンゲン大学と明治製菓の科学者により発見されました。彼らはストレプトマイセス属細菌が生成するホスフィノスリシンの存在を明らかにし、1970年代にはこの物質のラセミ混合物が初めて合成され、後に商業用に改良された形で発展しました。

1980年代には、特定のストレプトマイセス種において、ホスフィノスリシンを不活性化する酵素が発見され、遺伝子操作による耐性作物の開発が進みました。

利用用途

グルホシネートは、アサガオやセスバニアハーバケアなどの主要な雑草を制御するために用いられています。特に、グリホサートと同様に、問題となる雑草が発芽するタイミングで施用することが重要です。BASF社の製品としては、バスタやリライなどが商業的に利用されています。さらに、収穫効率向上のため乾燥剤としての利用や、植物病害への対策としても利用されます。

グルホシネートに耐性を持つ遺伝子組み換え作物も開発されており、1995年には耐性キャノーラが導入され、以後トウモロコシや綿、大豆にまで広がっています。

環境への影響と毒性

グルホシネートは食品中に残存することがあり、特に収穫前に乾燥剤として使用された際に残留物が問題視されています。化学物質の残留は、動物を経由して人間の食品にも影響を与える可能性があります。加えて、アメリカの環境保護庁（EPA）によると、グルホシネートは持続性と可動性があるため、使用に際しては注意が必要です。

規制状況

アメリカでは環境保護庁に登録されており、除草剤としての使用が認められていますが、ヨーロッパでは生殖毒性などの問題から規制されることがあります。日本では、特定の製品が農薬取締法に基づいて登録されており、使用方法に関して厳格な規制が設けられています。

まとめ

グルホシネートは、その強力な除草作用と幅広い応用可能性から、農業での重要な道具となっています。しかし、その利用には環境や人体への影響を考慮した慎重なアプローチが必要です。これからの農業において、より安全で持続可能な利用方法の模索が求められます。

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