グレイシャーベイ国立公園

グレイシャーベイ国立公園

グレイシャーベイ国立公園は、アメリカ合衆国アラスカ州南東部に位置する国立公園で、その壮大な氷河景観が特徴です。公園は1925年に国定公園として設立され、1979年にはユネスコの世界遺産の一部となりました。1980年にはアラスカ国家利益土地保護法により国立公園に昇格し、1986年にはアドミラルティ島と共にユネスコの生物圏保護区にも指定されました。

公園の面積は13,287平方キロメートルに及び、その大部分は自然保護地域に指定されています。特筆すべきはその交通アクセスで、公園に続く道路はなく、国立公園局の連絡船や、近隣の町ガスティヴァスへの航空便を利用する必要があります。しかし、その不便さにもかかわらず、年間平均38万人もの人々がこの地を訪れています。

氷河の景観

グレイシャーベイの最大の特徴は、雪を抱く高山から海へと流れ込む氷河が創り出す、息を呑むような絶景です。特に有名なのはミューア氷河で、幅約3キロメートル、高さ約80メートルにも及びます。1750年頃まで、この湾全体は氷河に覆われていましたが、その後の氷河の後退により、現在の姿が現れました。

探検家ジョージ・バンクーバーは1794年にグレイシャー湾の南端を発見しましたが、当時湾はほぼ氷に閉ざされていました。しかし、1879年には自然主義者のジョン・ミューアが、氷河が湾から約77キロメートルも後退していることを確認しました。1916年にはグランド・パシフィック氷河が、湾の入口から約100キロメートルも後退し、これは記録に残る最も早い氷河の後退例の一つです。この氷河の後退は、気候変動と氷河活動の関係を研究する上で、重要な情報を提供しています。

公園内には16もの潮間氷河があり、そのうち12の氷河が活発に氷山を湾に流し出しています。これらの氷河は、公園の景観を常に変化させ、訪れる人々を魅了し続けています。

生態系

氷河の周辺では、地衣類やコケ植物、ハンノキ属、ヤナギ、ムクロジ属、ポプラなどのパイオニア植物が繁殖しています。少し離れた場所では、アメリカツガやシトカトウヒの森林が広がっており、多様な植生が見られます。また、この地域はクマ、シカ、シロイワヤギ、クジラ、水鳥など、多種多様な野生動物の生息地としても重要です。

世界遺産

グレイシャーベイ国立公園は、クルアーニー国立公園、ランゲル＝セント・イライアス国立公園、タッチェンシニー＝アルセク州立公園と共に、国境を越えた「クルエーン/ランゲル＝セント・イライアス/グレイシャー・ベイ/タッチェンシニー＝アルセク|クルエーン_ランゲル＝セント・イライアス_グレイシャー・ベイ_タッチェンシニー＝アルセク」として、ユネスコの世界遺産に登録されています。この地域は、ハイイログマ、トナカイ、ドール・シープなどの生息地としての重要性だけでなく、壮大な氷河と氷原の景観が評価されています。

グレイシャーベイ国立公園は、その独特な自然環境と景観から、世界中から多くの人々が訪れる魅力的な場所です。

参考

公式サイト：グレイシャーベイ国立公園（英語）
地図：グレイシャーベイ国立公園の地図（英語）
UNESCO: 世界遺産公式サイト（英語）
写真: グレイシャーベイ国立公園の写真（英語）

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