グレゴリウス13世 (ローマ教皇)

グレゴリウス13世について

グレゴリウス13世（本名：ウーゴ・ブオンコンパーニ）は、1502年にボローニャで生まれ、1585年までローマ教皇として活躍しました。彼の教育に対する熱意から教皇の地位に至り、特に「グレゴリオ暦」として知られる新暦の導入が著名です。

教皇登位まで

この教皇はボローニャ大学で法学を学び、優れた教壇経験を持っていました。その後、教皇パウルス3世によりローマに招かれ、教会法関連の業務を担当するようになります。教皇ピウス4世の時代には枢機卿に選ばれ、トリエント公会議でも重要な役割を果たしました。彼の学識と教会への貢献は、教皇職への大きな前進となりました。

治世と教会改革

1572年に教皇に選出された彼は、巧みに教会改革に取り組みました。特にトリエント公会議での決定事項を実行に移し、各司教や枢機卿が自らの地域に住むよう奨励しました。また、「禁書目録」の設立も進め、知識や学問の統制をめざしました。

グレゴリウス13世の最も注目すべき業績は、ユリウス暦の問題を解決するために新たな暦、グレゴリオ暦を導入したことです。この新暦の検討が始まったのはトリエント公会議の決定に基づいており、特に優れた天文学者であるクリストファー・クラヴィウスが参加した委員会で進められました。1582年に発布された暦の変更は、まずカトリック国で実施され、ユリウス暦の10月5日がグレゴリオ暦の10月15日に改められました。

初めはプロテスタント諸国からは受け入れられず、教会暦の変更が引き起こす影響への懸念がありましたが、最終的には世界中の国々で採用されるに至りました。ただし、いくつかの正教会は依然としてユリウス暦を使用しています。

外交政策と教育事業

外交面では、グレゴリウス13世はイスラム教国への対抗姿勢を保持しつつ、プロテスタント諸国の動向についても関心を寄せていました。多くの神学校を設け、特にイエズス会の教育活動を強力に支援しました。ローマ学院はその中でも特に重要で、彼が資金援助を行い規模を拡大させたことで、現代の「グレゴリアン大学」として称えられています。

教皇はイングランド女王エリザベス1世に対抗するため、イギリスへの影響力を誇示し、アイルランド侵攻を試みましたが、結局は他の戦争に利用されてしまいました。フランスでは、多数のプロテスタントが犠牲になったサン・バルテルミの虐殺が発生すると、教皇はこれを記念してメダルを造り、神を賛美しました。しかし、これは彼自身の意図とは異なり、王の意向を信じた結果と見なされています。

建築と後世への影響

グレゴリウス13世は、ローマにグレゴリウス聖堂やクイリナーレ宮殿を建設し、さらにはディオクレティアヌス浴場を改造しました。これらの工事には、教皇領内の資産を没収する資金が用いられましたが、その結果貴族たちの反発を招き、統治に混乱をもたらしました。また、彼には庶子がいて、さまざまな地位に就けることもありました。

グレゴリウス13世の治世中には、天正遣欧使節がローマを訪れ、教皇の謁見を受けるなど、この時代の歴史的瞬間も生まれました。彼の影響は、今なお暦や教育機関を通じて我々の生活に息づいています。

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