グレン・デービス (野球)
グレン・アール・デービスは、1961年3月28日、フロリダ州ジャクソンビルで生まれた元プロ野球選手（内野手）です。現在はジョージア州コロンバスの市議会議員を務めています。
グレンの父ジーン・デービスはマイナーリーグで10年間プレーした元野球選手でしたが、短気で酒癖が悪く、大成できませんでした。両親はグレンが6歳の時に離婚し、彼は母親と2人の姉妹と共に暮らしました。母親は厳格なキリスト教徒で、グレンを伝道師にしようとし、父親との面会や野球を禁じ、毎日のように息子を殴るなど、荒んだ環境でグレンは育ちました。彼は不良少年となり、絶えず自殺願望を抱えるなど、暗い少年時代を過ごしました。
転機となったのは、地元のクリスチャン高校に進学後、野球部のチームメイト、ストーム・デービス（血縁関係はない）との出会いです。ストームの父で野球部のコーチをしていたジョージとその妻ノーマは、グレンの境遇を知り、彼を自宅に招いて優しく接し、グレンが野球を続けられるように支えました。グレンは彼らに心を開き、実質的にジョージ一家の一員となりました。
高校は州大会で2連覇を果たし、1979年のドラフトでストームは7巡目、グレンは31巡目で、いずれも投手としてボルチモア・オリオールズに指名されました。ストームはプロ入りしましたが、グレンは野手としての指名を望んでおり、ジョージの勧めでジョージア大学に進学。早期のドラフト指名を得るために、翌年マナティー短期大学に編入し、1981年の2次ドラフト1巡目（全体5番目）で野手としてヒューストン・アストロズに入団しました。
マイナーリーグ時代から強打者として活躍し、1982年にはフロリダ・ステートリーグ（A+級）、1983年にはサザンリーグ（AA級）で、それぞれリーグ本塁打王となりました。一時、再び自殺願望に苦しんだ時期もありましたが、養母ノーマらの支えで克服。1984年にテレサ夫人と結婚してからは生活も落ち着きました。
同年、テリー・プールの怪我によりメジャーに初昇格すると、翌1985年からは一塁手のレギュラーとなりました。この年は100試合に出場し、打者不利のアストロドームを本拠地としながら20本塁打を放ちました。1986年には31本塁打を放ち、チームのナショナルリーグ西地区優勝に貢献。シルバースラッガー賞を受賞し、MVP投票でも2位に入りました。ニューヨーク・メッツとのリーグチャンピオンシップシリーズでは、ドワイト・グッデンから本塁打を放つなど活躍しましたが、チームは敗退しました。
その後もアストロズの中軸打者として活躍し、1989年にはアストロズ史上初の5年連続20本塁打以上を記録しました。この記録は、手首の故障で93試合の出場に留まった1990年まで続きました。また、1986年と1990年には日米野球でMLB選抜として来日し、かつてのチームメイトである西武ライオンズの秋山幸二と旧交を温めました。
アストロズ時代には、テレサ夫人の協力を得て、ジョージア州コロンバスに児童養護施設「The Carpenter's Way」を設立し、虐待や育児放棄に苦しむ子供たちを育てる試みを始めました。こうした社会活動も評価され、1990年にはルー・ゲーリッグ賞を受賞しました。
1991年1月、カート・シリングらとのトレードでボルチモア・オリオールズに移籍しましたが、度重なる怪我に悩まされ、期待されたほどの活躍はできませんでした。なお、1992年には、義兄弟のストームとチームメイトとなりました。
1994年にはニューヨーク・メッツのスプリングトレーニングに参加しましたが、ロースター入りは果たせず、カンザスシティ・ロイヤルズ傘下の3Aオマハでプレーしました。ここで27本塁打、97打点を記録しましたが、メジャー昇格の機会は与えられませんでした。
1994年オフ、日本の阪神タイガースに入団しました。「デービス」という姓に悪いイメージがあったため、登録名は「グレン」となりました。1995年はオープン戦から好調を維持し、開幕戦で来日初本塁打を記録するなど、上々の滑り出しを見せました。その後も4番打者として活躍しましたが、夏場以降は古傷の脇腹痛の影響で徐々に成績が落ち込みました。
1996年シーズンは、監督との確執から開幕メンバーを外され、その後スタメンに復帰するも調子は上がらず、5月1日の試合で代打サヨナラ満塁本塁打を放つも、同年6月に解雇され、帰国しました。
帰国後は、独立リーグでプレーし、現役を引退しました。引退後は、児童養護施設「The Carpenter's Way」の運営を続けながら、ホテル経営などを手掛けるカスケード・グループのCEOを務めるなど、実業家としても活躍しています。また、2002年からは地元コロンバスの市議会議員を務め、地域社会に貢献しています。
デービスは、野球選手としての才能だけでなく、その波乱万丈な人生を通して、多くの人々に勇気を与え続けています。
年度別打撃成績
(データは省略)
MLB
シルバースラッガー賞：1回 （1986年）
ルー・ゲーリッグ賞：1回 （1990年）
NPB
優秀JCB・MEP賞：1回 （1995年）
MLB
MLBオールスターゲーム選出：2回 （1986年、1989年）
NPB
初出場・初先発出場：1995年4月7日、対中日ドラゴンズ1回戦（ナゴヤ球場）4番・一塁手として出場
初安打・初本塁打・初打点：同上
27 （1984年 - 1990年、1993年）
37 （1991年 - 1992年）
28 （1995年 - 1996年途中）
(参考資料へのリンクは省略)
阪神タイガースの選手一覧
Carpenter's Way Home for Children - Website - 経営する児童養護施設の公式サイト
City Council - コロンバス市議会の公式サイト
選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
個人年度別成績 グレン - NPB.jp 日本野球機構
生い立ちと野球との出会い
グレンの父ジーン・デービスはマイナーリーグで10年間プレーした元野球選手でしたが、短気で酒癖が悪く、大成できませんでした。両親はグレンが6歳の時に離婚し、彼は母親と2人の姉妹と共に暮らしました。母親は厳格なキリスト教徒で、グレンを伝道師にしようとし、父親との面会や野球を禁じ、毎日のように息子を殴るなど、荒んだ環境でグレンは育ちました。彼は不良少年となり、絶えず自殺願望を抱えるなど、暗い少年時代を過ごしました。
転機となったのは、地元のクリスチャン高校に進学後、野球部のチームメイト、ストーム・デービス（血縁関係はない）との出会いです。ストームの父で野球部のコーチをしていたジョージとその妻ノーマは、グレンの境遇を知り、彼を自宅に招いて優しく接し、グレンが野球を続けられるように支えました。グレンは彼らに心を開き、実質的にジョージ一家の一員となりました。
高校は州大会で2連覇を果たし、1979年のドラフトでストームは7巡目、グレンは31巡目で、いずれも投手としてボルチモア・オリオールズに指名されました。ストームはプロ入りしましたが、グレンは野手としての指名を望んでおり、ジョージの勧めでジョージア大学に進学。早期のドラフト指名を得るために、翌年マナティー短期大学に編入し、1981年の2次ドラフト1巡目（全体5番目）で野手としてヒューストン・アストロズに入団しました。
アストロズでの活躍
マイナーリーグ時代から強打者として活躍し、1982年にはフロリダ・ステートリーグ（A+級）、1983年にはサザンリーグ（AA級）で、それぞれリーグ本塁打王となりました。一時、再び自殺願望に苦しんだ時期もありましたが、養母ノーマらの支えで克服。1984年にテレサ夫人と結婚してからは生活も落ち着きました。
同年、テリー・プールの怪我によりメジャーに初昇格すると、翌1985年からは一塁手のレギュラーとなりました。この年は100試合に出場し、打者不利のアストロドームを本拠地としながら20本塁打を放ちました。1986年には31本塁打を放ち、チームのナショナルリーグ西地区優勝に貢献。シルバースラッガー賞を受賞し、MVP投票でも2位に入りました。ニューヨーク・メッツとのリーグチャンピオンシップシリーズでは、ドワイト・グッデンから本塁打を放つなど活躍しましたが、チームは敗退しました。
その後もアストロズの中軸打者として活躍し、1989年にはアストロズ史上初の5年連続20本塁打以上を記録しました。この記録は、手首の故障で93試合の出場に留まった1990年まで続きました。また、1986年と1990年には日米野球でMLB選抜として来日し、かつてのチームメイトである西武ライオンズの秋山幸二と旧交を温めました。
アストロズ時代には、テレサ夫人の協力を得て、ジョージア州コロンバスに児童養護施設「The Carpenter's Way」を設立し、虐待や育児放棄に苦しむ子供たちを育てる試みを始めました。こうした社会活動も評価され、1990年にはルー・ゲーリッグ賞を受賞しました。
オリオールズ、ロイヤルズ時代
1991年1月、カート・シリングらとのトレードでボルチモア・オリオールズに移籍しましたが、度重なる怪我に悩まされ、期待されたほどの活躍はできませんでした。なお、1992年には、義兄弟のストームとチームメイトとなりました。
1994年にはニューヨーク・メッツのスプリングトレーニングに参加しましたが、ロースター入りは果たせず、カンザスシティ・ロイヤルズ傘下の3Aオマハでプレーしました。ここで27本塁打、97打点を記録しましたが、メジャー昇格の機会は与えられませんでした。
阪神タイガースでのプレー
1994年オフ、日本の阪神タイガースに入団しました。「デービス」という姓に悪いイメージがあったため、登録名は「グレン」となりました。1995年はオープン戦から好調を維持し、開幕戦で来日初本塁打を記録するなど、上々の滑り出しを見せました。その後も4番打者として活躍しましたが、夏場以降は古傷の脇腹痛の影響で徐々に成績が落ち込みました。
1996年シーズンは、監督との確執から開幕メンバーを外され、その後スタメンに復帰するも調子は上がらず、5月1日の試合で代打サヨナラ満塁本塁打を放つも、同年6月に解雇され、帰国しました。
引退後
帰国後は、独立リーグでプレーし、現役を引退しました。引退後は、児童養護施設「The Carpenter's Way」の運営を続けながら、ホテル経営などを手掛けるカスケード・グループのCEOを務めるなど、実業家としても活躍しています。また、2002年からは地元コロンバスの市議会議員を務め、地域社会に貢献しています。
デービスは、野球選手としての才能だけでなく、その波乱万丈な人生を通して、多くの人々に勇気を与え続けています。
詳細情報
年度別打撃成績
(データは省略)
表彰
MLB
シルバースラッガー賞：1回 （1986年）
ルー・ゲーリッグ賞：1回 （1990年）
NPB
優秀JCB・MEP賞：1回 （1995年）
記録
MLB
MLBオールスターゲーム選出：2回 （1986年、1989年）
NPB
初出場・初先発出場：1995年4月7日、対中日ドラゴンズ1回戦（ナゴヤ球場）4番・一塁手として出場
初安打・初本塁打・初打点：同上
背番号
27 （1984年 - 1990年、1993年）
37 （1991年 - 1992年）
28 （1995年 - 1996年途中）
参考資料
(参考資料へのリンクは省略)
関連項目
阪神タイガースの選手一覧
外部リンク
Carpenter's Way Home for Children - Website - 経営する児童養護施設の公式サイト
City Council - コロンバス市議会の公式サイト
選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
個人年度別成績 グレン - NPB.jp 日本野球機構
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