グレート東郷

グレート東郷の生涯と功績

グレート東郷の本名はジョージ・カズオ・岡村であり、1911年にアメリカ・オレゴン州フッドリバーで生まれました。彼は日系アメリカ人としてプロレス界に足を踏み入れ、特に太平洋戦争終結後のアメリカで独特のキャラクターを築き上げました。彼の父は日本人、母は中国人という背景に関してはいくつかの説が存在し、その正確な出自は未だに不明ですが、彼自身のストーリーは、多くの人々に影響を与え続けています。

早期のキャリア

東郷は非白人の移民の子供として厳しい境遇に育ち、少年時代からレスリングやボクシングに励みました。1933年にプロレスデビューし、当初は「ブル・イトー」名義で活動を開始します。その後、リングネームをジョージ・オカムラに変更し、徐々に知られる存在になっていきました。

終戦後、彼は日本の戦争指導者である東條英機の名を使う「グレート・トージョー」として活動を始めましたが、観客からの反響を受けて、その名を改め「グレート・トーゴー」にしました。これは日露戦争の英雄、東郷平八郎に由来しており、この名前で彼は数々の試合で活躍しました。

独特のギミックと技

彼のレスリングスタイルは、反則技が多用される特異なものでした。試合中には、卑屈に懇願して見せた瞬間の反則攻撃や、しつこく行う目潰しなど、観客からは強い憎悪を集めました。このスタイルは、当時のアメリカでの日本人像や反日感情を巧みに取り入れたものであり、彼自身がヒール（悪役）としての立ち位置を確立する一因となりました。

日本での活動

彼は1959年に日本プロレスに参戦し、大きな注目を浴びました。日本においては、彼は頭突きや空手チョップを駆使し、根性あふれるベビーフェイスとして活動しました。レスリングブッカーとしても成功を収め、数々の外国人レスラーを日本に呼び寄せました。しかし、内部トラブルや契約上の問題もありました。

1963年には日本プロレスからの解任を受け、後に国際プロレスに携わりますが、この時も彼はトラブルに巻き込まれることがありました。特に大木金太郎を引き抜こうとした際、他のレスラーとの摩擦が生じたことが記録されています。

最後の時期と影響

1969年には新団体の設立を試みましたが、妨害工作も相まって思うようには進展せず、最終的にはNWAへの加盟請求も否決されました。彼はその戦略の通りにはいかず、また多くのトラブルに対処しなければならない状況に置かれていました。

1973年12月17日、彼はロサンゼルスで62歳の生涯を閉じました。彼の影響はその後の多くの日系レスラーに受け継がれ、特徴的なギミックやスタイルは、新しい時代のレスリングにも深く根付いています。

まとめ

グレート東郷は、アメリカのプロレス界において特異な存在感を示したレスラーであり、彼の業績は今でも語り継がれています。彼の生き様は、アメリカの文化と日本の伝統が交錯した独特のキャラクターを生み出し、それが多くのレスラーに影響を与える要因となりました。レスリングの世界における彼の名前は、今も人々の記憶に深く刻まれたままです。

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