頭突き

頭突き：格闘技と動物界における攻撃手段

頭突きとは、自身の頭を相手に打ち当てる攻撃行為です。英語ではヘッドバット（Headbutt）、俗にチョーパン、朝鮮語ではパチキとも呼ばれます。本稿では、プロレスにおける多様な頭突き技法、歴史、名手、健康被害、そしてプロレス以外の格闘技や動物界における頭突きについて詳細に解説します。

プロレスにおける頭突き

プロレスにおいて、頭突きは立っている相手の頭を掴んで自身の頭を叩き込む攻撃として用いられます。タックルのように勢いをつけて叩き込んだり、倒れている相手に倒れ込みながら打ちつけたりと、様々なバリエーションが存在します。

荒々しいファイトスタイルを売りにするヒールやパワーファイターが好んで使用しますが、技巧派レスラーも試合のテンポを変えるために用いることがあります。

頭突きの名手

黒人レスラーのボボ・ブラジルがその代名詞的な必殺技として使用したことで有名になり、アブドーラ・ザ・ブッチャー、ルーファス・ジョーンズら多くの黒人レスラーが継承しました。アンドレ・ザ・ジャイアントもその巨体から繰り出す頭突きは「2階からのヘッドバット」と呼ばれ、大きなインパクトを与えました。

反則技として用いられることも多く、ワイルド・サモアンズはダブル・ヘッドバット、ザ・デストロイヤーなどはマスクの中に凶器を仕込むなどの悪質な使用例も見られました。日本においても、大木金太郎、大熊元司、ラッシャー木村、藤原喜明などが頭突きを得意技としていました。

頭突きの派生技

プロレスでは、様々な派生技が開発され、レスラーの個性を際立たせてきました。以下に代表的なものを挙げます。

ノータッチ・ヘッドバット: ノーモーション・ヘッドバットとも呼ばれ、相手の頭、顔面、胸板に直接頭を叩き込む技。大仁田厚、石井智宏などが得意としていました。
ジャンピング・ヘッドバット: ジャンプして相手の頭を叩きつける技。ボボ・ブラジル（ココバット）、ジミー・スヌーカなどが使用しました。
フライング・ヘッドバット: 助走をつけてジャンプし、相手の胸板に頭を叩き込む技。アルバート・ウォール、エル・ソリタリオなどが有名です。
ランニング・ヘッドバット: 助走して倒れている相手に倒れ込み、肩口に頭を叩き込む技。大熊元司、菊地毅などが使用しました。
ダイビング・ヘッドバット: コーナー最上段からジャンプして相手の頭部または肩口に頭を叩き込む技。ハーリー・レイスのオリジナル技で、ダイナマイト・キッド、クリス・ベノワなども使用し、高いリスクが指摘されています。
垂直落下式ダイビング・ヘッドバット: コーナー最上段から前のめりに倒れ込み、相手の体に覆い被さるように落下して叩き込む技。ダイナマイト・キッド、クリス・ベノワが得意としました。
ヘッド・ドロップ: 仰向けになった相手に覆い被さるように倒れ込み、脇腹に頭を叩き込む技。天山広吉のオリジナル技です。
ドッグバット: 四つん這いになった相手に四つん這いになって突進し、頭を叩き込む技。ジャンクヤード・ドッグのオリジナル技です。
一本足頭突き: 向かい合った相手の頭を掴み、片足を上げて反動をつけて頭突きをする技。大木金太郎のオリジナル技で、フラミンゴ・ヘッドバットとも呼ばれます。
釣鐘ヘッドバット: 仰向けに倒れている相手の股間に頭を叩き込む技。天山広吉のオリジナル技で、反則行為にあたります。
* 側転ヘッドバット: 側転を繰り出して相手の肩口に頭を叩き込む技。本田多聞のオリジナル技ですが、実際には側転せずに頭を叩き込むため、あまり効果的ではありませんでした。

健康被害

頭突きは効果的な技ですが、過度の使用は脳震盪や慢性外傷性脳症（パンチドランカー）などの健康被害を引き起こす可能性があります。大木金太郎や菊地毅は、頭突きの多用によって脳障害を負った代表例として挙げられます。ダイビング・ヘッドバットは特に危険性が高く、ダイナマイト・キッド、クリス・ベノワらの例からもそのリスクが明らかです。

プロレス以外の格闘技における頭突き

プロレス以外の格闘技では、大道塾空道、相撲、ラウェイなどで頭突きが認められています。一方、総合格闘技、ボクシング、キック[[ボクシング]]、ムエタイなどでは禁止されています。

ボクシングなどでは、故意の頭突きが反則行為となりますが、接近戦の中で隠れて行われるケースもあります。また、偶然の頭部衝突（バッティング）による負傷も試合に影響を与えることがあります。

総合格闘技では、初期のUFCなどでは認められていましたが、現在はほとんど禁止されています。

動物界における頭突き

動物界でも、頭突きは順位争いなどに使われます。ヤギやジャコウウシは角を使って頭突きを行うことで知られています。パキケファロサウルスなどの恐竜も頭突きをしていた可能性が指摘されています。ウサギ、キリン、シャチなども、それぞれの方法で頭突きに似た行動をとることがあります。

まとめ

頭突きは、プロレスでは多様な技法として発展し、多くの名勝負を生み出してきましたが、その健康被害も無視できません。また、プロレス以外の格闘技や動物界においても、頭突きは様々な形で存在し、それぞれの文脈の中で重要な役割を果たしています。本稿が、頭突きという攻撃手段の多様性と危険性を理解する上で役立つことを願っています。

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