グロシュ

グロシュ（grosz）は、ポーランドの通貨単位で、ズウォティ（złoty）の補助単位として用いられています。通貨記号は「gr」で、1ズウォティは100グロシュに相当します。現在、ポーランドでは1gr、2gr、5gr、10gr、20gr、50grの硬貨が流通しています。

グロシュの歴史

「グロシュ」という名前は、ラテン語の「grossus」（厚みのある）に由来します。この言葉が示すように、グロシュはかつて発行されていたディナリウス銀貨よりも厚みのある銀貨でした。中世ヨーロッパ各地で、数ディナリウスから十数ディナリウスと同等の価値を持つ通貨として広く使われました。

グロシュが発行された主な地域と時期は以下の通りです。

イタリア: 1172年頃から発行
フランス: 1266年頃から「トゥロン・グロシュ」として発行。12ドゥニエと等価。ルイ9世の時代に発行されました。
ティロル: 1271年頃から発行
ボヘミア: 1300年頃から「プラハ・グロシュ」として発行。中・東ヨーロッパ地域で広く流通しました。
ポーランド: 1367年頃から「クラクフ・グロシュ」として発行。12ディナリウスと等価。カジミェシュ3世の時代に発行されました。

グロシュ硬貨は、時代とともに小型化していきました。14世紀初頭には3.7gあったものが、16世紀頃には1.8gにまで軽量化されました。

ポーランドでは、1526年に1/2グロシュ硬貨（0.5グロシュ）が発行された後、1.5グロシュ、2グロシュ、3グロシュ、4グロシュ、6グロシュなど、様々な種類の硬貨が作られました。1752年からは銅製硬貨が登場しました。16世紀から1918年まで、ポーランドのグロシュは1/30ズウォティの価値を持っていました。分割時代のロシア占領地域では、1グロシュが1/2カペイカに相当しました。1924年には、1グロシュ＝1/100ズウォティと定められました。

近代以降のグロシュ

近代以降、「グロシュ」の名を冠する硬貨は、以下の2種類が存在しました。

ポーランド: grosz（グロシュ）。1グロシュ＝1/100ズウォティで、現在も使用されています。
* オーストリア: Groschen（グロッシェン）。1グロッシェン＝1/100シリング。1924年から1938年、および1945年から2001年のユーロ導入まで使用されました。

このように、グロシュは中世から現代に至るまで、ヨーロッパの通貨史において重要な役割を果たしてきた通貨単位です。

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