プラハ・グロシュ

プラハ・グロシュの歴史と特徴

プラハ・グロシュ（チェコ語：pražský groš）は、14世紀から16世紀にかけてボヘミア王国で流通した銀貨であり、国際通貨としての地位を有していました。この銀貨はクトナー・ホラの王立造幣局で鋳造され、その直径は約27ミリメートル、初期の重さは3.5から3.7グラム程度です。また、銀の純度も933パーミルという非常に高い水準を保っていました。補助単位である「パルヴス」（parvus）はラテン語で「小さいもの」を意味し、12パルヴスが1グロシュにあたります。

特徴

プラハ・グロシュの表面には、当時のボヘミア王の王冠が描かれ、その周囲には王のラテン語名が記されています。例えば、ヴァーツラフ2世の場合には「WENCEZLAVS SECVNDVS」という名で囲まれ、さらに外周には「DEI GRATIA REX BOEMIE（神の恩寵によりボヘミア王）」と彫られていました。また、裏面にはライオンのデザインが施されており、「GROSSI PRAGENSES（プラハ・グロシュ）」の文字も見られます。

歴史的背景

1292年、ボヘミア王ヴァーツラフ2世は法学者ゴッツォを宮廷に招き、法制度を整備させました。この際に通貨改革を行い、プラハ・グロシュの誕生という重要な出来事につながりました。1300年頃には、フランスの聖王ルイの影響を受けてプラハ・グロシュの鋳造が開始され、イタリアのフィレンツェから技術者が招聘されるなど、国際的な要素が色濃く反映されています。

クトナー・ホラにある造幣局は「イタリア宮」と称され、時が経つにつれて鋳造されたコインの重さは最大で2.4グラムまで減少し、品位も562パーミルにまで落ちていきましたが、それでもプラハ・グロシュは16世紀までボヘミアや神聖ローマ帝国全体における基準通貨としての地位を確保し続けました。

プラハ・グロシュの衰退

しかし、クトナー・ホラにて銀の産出量が減少し、ヨアヒムスタールに新たな銀鉱が発見されるなどの要因が重なることで、プラハ・グロシュの影響力は次第に衰えていきました。1547年、ローマ王兼ボヘミア王であり、後にローマ皇帝となるフェルディナント1世によって新通貨ターラーに取って代わられる運命を辿ります。1644年にはローマ皇帝フェルディナント3世の命により、クトナー・ホラの鉱脈が枯渇したことも影響し、プラハ・グロシュの鋳造は完全に停止しました。

おわりに

プラハ・グロシュは中世ヨーロッパの通貨制度において重要な役割を果たし、その影響は広範囲に及びました。この銀貨は、ボヘミア王国の経済的発展や国際的な通商関係を象徴するものであり、当時の社会や文化について多くを語る貴重な証人となっています。

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