グロモボーイ (装甲巡洋艦)

グロモボーイ

「グロモボーイ」は、ロシア帝国海軍が1896年から1902年にかけて建造した装甲巡洋艦で、元々は「ロシア」の改良型として設計された艦です。この艦は、特にその改良された防御性能と武装が特徴であり、ロシア海軍の近代化の象徴的な存在となりました。

設計と建造

「グロモボーイ」の設計は、皇帝ニコライ2世の強い要望によって具体化されました。その目的は、クリミア戦争の敗北後の艦隊復興と外洋進出を実現することでした。艦名は、キエフ・ルーシ時代の文学に由来しています。艦の設計には、重装甲と高い航行性能が求められ、特に新しいクルップ装甲の採用により防御能力が向上しました。

艦は1896年に正式に注文され、サンクトペテルブルクのバルト工場で建造が始まりました。1899年には進水し、艦長にはK・P・イェッセンが任命されました。試運転中には、艦は優れた航海性能を見せ、1900年には20.3ノットの速力を記録しました。

武装と性能

「グロモボーイ」は、主に4門の203mm主砲と16門の152mm副砲を搭載し、艦体には重防護装甲が施されていました。艦の武装は、砲廓に収められ、実戦でもその強力な火力を誇示しました。動力装置は、3基の同出力の機関で構成され、速力や航続距離が向上しました。また、燃料と食料の積載量も増すことで、長期間自立して行動する能力を持っていました。

歴史と戦歴

「グロモボーイ」は、1903年に設立された第1太平洋艦隊に所属し、日露戦争では日本の通商船に対する通商破壊を行いました。艦は多くの日本の輸送船を撃沈し、戦闘においても特定の役割を果たしました。1904年の蔚山沖海戦では、日本艦隊との激しい戦闘に巻き込まれ、艦は重傷を負いました。

日露戦争後はバルト海へ戻り、いくつかの改修を受け、1914年の第一次世界大戦にも参加しました。その後の「グロモボーイ」は、海軍の変遷を見守りながら、何度も装備のアップグレードを受けました。

最後

「グロモボーイ」は、1917年の十月革命後、ロシア・ソビエト共和国の管轄下に置かれました。最終的には1922年に解体されることになりますが、艦の歴史はロシア帝国の海軍力の象徴とされ、長きにわたって記憶されることとなりました。

「グロモボーイ」の存在とその役割は、当時の海軍戦略や技術の向上、大洋艦隊の重要性を物語っています。彼の軌跡は、ロシア帝国海軍の歴史の中で重要な位置を占めています。

もう一度検索