グロリオーソの航海

グロリオーソの航海：スペインの英雄的戦い

グロリオーソの航海は、18世紀のジェンキンスの耳の戦争中に、スペインの70門艦グロリオーソがイギリス艦隊と繰り広げた一連の戦闘です。この航海は、グロリオーソがアメリカ大陸からスペインへ銀貨を輸送する任務を帯びていた際に発生しました。

400万ドルの銀貨を積んで

1747年7月、ペドロ・メシア・デ・ラ・セルダの指揮のもと、グロリオーソはハバナを出港し、約400万ドル相当の銀貨を積んでスペインへ向かいました。7月25日、アゾレス諸島近海でイギリスの商船隊を発見。その中には、60門戦列艦ウォリック、40門フリゲートのラルク、20門ブリッグが含まれていました。デ・ラ・セルダは戦闘を避けつつ積荷を守るため、風上の位置を維持しようとしましたが、スコールによりイギリス艦隊に追いつかれます。

2度の勝利

イギリス艦隊はグロリオーソを攻撃。ラルクは激しい砲火を浴びて大きな損傷を受け、ウォリックもマストを損傷して撤退を余儀なくされました。グロリオーソも損害を受けましたが、スペインへの航海を続行。その後、フィニステレ岬沖でジョン・ビング提督率いるイギリス艦隊（50門戦列艦オックスフォード、24門フリゲートのショーハム、20門ブリッグのファルコン）の攻撃を受けますが、これも撃退しました。

悲劇的な最期

グロリオーソはコルクビョンで修理を行い、カディスへ向かう途中、サン・ヴィセンテ岬沖でジョージ・ウォーカー代将率いるイギリス私掠船隊に遭遇します。私掠船隊（キング・ジョージ、プリンス・フレデリック、プリンセス・アメリア、デューク）との激戦でキング・ジョージを撃退するも、50門艦ダートマスと92門艦ラッセルが増援として現れます。

ダートマスはグロリオーソに追いつき砲撃戦を繰り広げますが、弾薬庫が爆発し、艦長以下乗組員のほとんどが死亡するという悲劇に見舞われます。その後、ラッセルの攻撃を受けたグロリオーソは、激しい抵抗の末、ついに降伏。ラッセルはグロリオーソをリスボンへ連行しますが、損傷がひどく解体されました。

英雄と尊敬

グロリオーソの指揮官デ・ラ・セルダと乗組員は捕虜としてイギリスへ連行されますが、その勇敢な戦いぶりはスペインだけでなくイギリスでも賞賛されました。デ・ラ・セルダは帰国後、英雄として迎えられ昇進。グロリオーソの航海は、スペイン海軍史に残る英雄的な戦いとして語り継がれています。また、この海戦でのイギリス海軍の失態は、複数の士官が軍法会議にかけられる事態となりました。

グロリオーソの航海は、勇気、犠牲、そして国家への忠誠心を示す物語として、今もなお人々の記憶に残っています。

もう一度検索