グンゼチョイネイ・ダツァン

グンゼチョイネイ・ダツァン

グンゼチョイネイ・ダツァン（Дацан Гунзэчойнэй）は、ロシア連邦のサンクトペテルブルク市にある著名なチベット仏教寺院です。この寺院はヨーロッパで初めて建設された仏教寺院であり、ロシア政府から文化財に指定されています。

建設の歴史

この寺院の建設は1900年に遡り、チベットの僧侶であるアグワン・ドルジェフが建設の許可を得ました。資金はダライラマ13世から提供され、彼の支援のもとで建設が進められました。建設には、東洋学の研究で名を馳せたニコライ・レーリッヒやウフトンスキー、オルデンブルクといった学者が関与し、設計はパラノフスキによって純チベット様式に基づいたものがなされました。

1909年に建設が始まり、その資金はロシア帝国内の仏教徒の寄付とドルジェフ、ダライラマ13世、ジェブツンダンパ8世からの支援によって賄われましたが、寄付は計画を超えて集まりました。1913年には、ロマノフ王朝300年の記念行事の一環として第一回の仏教者会議が行われ、タイのラーマ6世から弥勒菩薩像が寄贈されました。1915年には開眼法要が行われ、導師を務めたドルジェフとイチゲロフにより、正式に寺院が宗教的な場として機能し始めました。

厳しい時代

しかし、1919年には火災で焼失し、1924年には再建されます。再建後しばらく平穏を保っていましたが、1935年にスターリンが権力を握ると、状況は一変しました。「レニングラード・ダツァン」という名称で知られたこの寺院では、僧侶や建設委員会のメンバーが次々とトロツキストとみなされ、逮捕や粛清を受けました。ドルジェフ自身も1938年にウラン・ウデの監獄で亡くなっています。その後、この寺院は軍に接収され、軍事ラジオ局として利用されることになりました。また、1960年までは妨害信号所も設置されていましたが、1968年11月25日には文化財に指定されました。これにより、寺院は保護されることになりました。

現在の状況

1990年にペレストロイカの影響を受け、寺院の運営が一般に開放され、1991年には「グンゼチョイネイ・ダツァン」という名が正式に奉献されました。1994年には主祭壇にモンゴル式の文殊菩薩像が設置され、これはモンゴルのガンデン・テンツェリン寺にある仏像の複製にあたります。

現代において、グンゼチョイネイ・ダツァンはサンクトペテルブルクの仏教界に欠かせない存在となり、信教の自由が憲法で保障される中、活発に活動しています。寺院はイヴォルギンスキー・ダツァンから修行僧を派遣し、哲学や瞑想の指導を行うなど、教育的な役割も果たしています。グンゼチョイネイ・ダツァンは、信仰を持つ人々だけでなく、文化や精神性に興味を持つ人々にとっても重要な場となっています。

もう一度検索