ケイ (アーサー王伝説)

ケイ卿とは

ケイ卿（Sir Kay）は、アーサー王伝説における重要な人物であり、円卓の騎士の一人として知られています。彼はエクトル卿の子であり、アーサー王の乳兄弟であるため、義理の兄妹関係にあたります。彼の名前はカイ、カイウス、カ、クーなど多様に呼ばれることもあります。

ウェールズ伝承におけるケイ

ウェールズの伝承において、ケイは『マビノギオン』やその他の作品で超人的な特技を披露しています。たとえば、九日九晩水の中にいても息が続く能力、長時間寝ずに働く能力、傷を負わせても治すことができないという特異な力を持っていました。また、彼は巨人ウルナッハに立ち向かい、知恵を駆使して討ち取るという勇敢な行動も見せています。結局、彼はグウヴィザグに命を奪われてしまいますが、アーサー王は彼の復讐を果たします。

また、ウェールズの伝説の中で、ケイは「ブリテン島の戦いの三博士」の一人としても挙げられ、彼が乗る馬は「Gwyneu gwddf hir」つまり「長い首のGwyneu」と名付けられています。

アーサー王物語におけるケイ

アーサー王の物語においてもケイは登場し、特にジェフリー・オブ・モンマスの『ヒストリア・レギュム・ブリタニア』ではアーサーの執政官として描かれています。彼とベディヴィアはアーサーがモン・サン・ミッシェルの巨人との戦いに参加する際にサポート役を果たします。ロマンス文学ではケイの恋愛についてはほとんど触れられていないものの、特定の作品で唯一例外が見られます。

トーマス・マロリー作の『アーサー王の死』では、ケイはアーサーの義兄として忠実な存在として描かれています。彼はアーサーと共に育ち、万聖節の日に騎士となることが運命づけられています。ある馬上槍試合で剣が折れた際、アーサーは代わりにカリバーンという名の剣を引き抜いて戻り、これがアーサーの王位継承のきっかけとなります。その後、アーサー王が即位すると、ケイは司厨長に任命されます。

ケイの最期にはいくつかの説が存在しますが、一般的にはカムランの戦いで亡くなるとされています。彼の性格は後世の文献で道化的で愉快であると描かれ、特にハルトマン・フォン・アウエの『イーヴェイン』では口が悪く、その言動が王妃グィネヴィアに叱責されるシーンが印象的です。

現代文学におけるケイ

現代文学でもケイ卿は登場しており、イギリスの作家テレンス・ハンベリー・ホワイトによる作品『永遠の王』や『王様の剣』などに登場します。特に『王様の剣』では、主人公ワートとの対比として無責任で少し間抜けな大男として描かれています。また、日本のアニメ『燃えろアーサー 白馬の王子』では、ケイはアーサーのサポート役として描かれ、伝説のケイとは違った生真面目で優しいお兄さんのキャラクターとして表現されています。

ケイ卿はアーサー王伝説の中で重要な役割を果たし、その特異な能力や性格は時代を超えて多くの人々に親しまれています。

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