ベディヴィア

ベディヴィア卿について

ベディヴィア卿（またはベディヴィエール）は、アーサー王伝説における著名な円卓の騎士の一人です。彼の物語は、中世の文献や後世の作品に幅広く登場します。特に、エクスカリバーというアーサー王の剣を湖の貴婦人に返したことが知られています。これは彼の主要な役割の一つで、アーサー王の物語の中での重要な出来事の一つです。このような彼の行動から、ベディヴィア卿は忠実な騎士としての象徴ともなっています。

姿勢と家族背景

ベディヴィア卿はエクスカリバーを返還する役割を果たした後、アーサー王に儀仗官（Marshal）として仕えました。彼には兄のルーカン卿といとこのグリフレット卿がいます。特にウェールズの伝承では、「恐るべき膂力のベディヴィア」とも称され、隻腕の勇敢な戦士として描かれることが多いです。彼は2人の子供、息子アムレンと娘エネヴァウクを持つ父親でもあります。

中世の文献におけるベディヴィア卿

ベディヴィアは中世の伝説の中で重要な役割を担います。『マビノギオン』にある『キルッフとオルウェン』では、彼はキルッフの冒険に同行し、その武力は一躍有名になります。この作品においては、彼の一突きの槍が他の騎士の九突きに匹敵するほどの迫力を誇り、隻腕でありながらも他の三人の騎士よりも早く敵に致命傷を与える場面があります。

また『聖カドック伝』では、グウィンスィウ王と聖グラディスにまつわる物語に関わっており、アーサー王やケイと共に問題を解決します。このように彼の名はアーサー王伝説の初期から見られ、実在の人物であった可能性があるとする研究も存在します。

ジェフリー・オブ・モンマスの記述と後の文学

ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』では、アーサー王の重臣として描かれ、巨大な巨人との戦いやローマ皇帝との戦いでの戦死の逸話が登場します。このように、彼は後の作品でもその名を残します。

トマス・マロリーの著作や、英語系のアーサー王物語でも、ベディヴィア卿はカムランの戦いで生き残った騎士の一人として強調され、アーサー王の命令でエクスカリバーを湖に投げ入れ、湖の貴婦人に返還する重要な任務を担います。ただし、フランス系の物語ではこの役割は騎士グリフレットに変わることがあります。ベディヴィアのその後は、修道院で隠者として静かに過ごしたとされています。

現代におけるベディヴィアの再評価

近年、アーサー王物語を取り扱った現代の作家たちもベディヴィアに着目しており、彼のキャラクターに新たな解釈を与えています。ローズマリー・サトクリフやジリアン・ブラッドショー、ジョン・M・フォードなどの作品では、彼がグィネヴィアの愛人として描かれることがあり、これは伝統的にランスロットが担う役割とは異なるアプローチです。ランスロットは後の物語に追加されたキャラクターであるため、ベディヴィアの役割に焦点を当てた作品も存在します。

こうした様々な文学作品を通じて、ベディヴィア卿はアーサー王伝説の中核に位置し、その物語は今もなお多くの読者に愛され続けています。

もう一度検索