ケイヴ・アンド・ベイスン

ケイヴ・アンド・ベイスン（Cave and Basin）

ケイヴ・アンド・ベイスンはカナダのアルバータ州バンフにある著名な温泉で、カナダ国立公園制度の発祥地として1981年に国定史跡に指定されました。この温泉は、サルファー山の南側に広がる地域に位置し、デボン紀の石灰岩の下にある衝上断層によって形成された9つの温泉の中でもっとも低い地点に湧き出ています。ここには人間が集団で入れるほどの広さの洞窟が存在し、自然の驚異を感じることができます。

地質

バンフの自然は、特に温泉の地質的背景が魅力的です。サルファー山の周辺にはいくつかの温泉がありますが、ケイヴ・アンド・ベイスンはその中でも特に多くの人々が集まる場所です。この地質現象は、温泉水が地下の熱源に触れることで生じ、地表に湧き出ることで私たちに癒しとリフレッシュを提供しています。

歴史

この地域に人が住むようになったのは、最終氷期の終わりから約1万700年前とされています。彼らはもちろん、温泉の存在を知っていたと考えられ、先住民の間には洞窟と温水にまつわる神話や伝説が伝わっています。文献上では、1859年にパリサー探検隊のメンバーであるJames Hectorが温泉を記録し、その後1874年にJoe Healeyが報告しましたが、広く知られるようになったのは1883年、カナダ太平洋鉄道の作業員であるMcCardell兄弟とFrank McCabeがその魅力を発信したことからです。彼らは倒木を使って温泉の開口部から洞窟に入り、翌年には商業化を目指して小屋を建設しました。

他にも温泉の利用を希望する者たちが現れたことを受け、1885年にはカナダ連邦政府が周囲を保護するための枢密院勅令を発行し、これが後の国立公園制度のスタートとされています。1886年には大洞窟に向かうトンネルが掘られ、1912年には治療効果があるとされた温泉水が瓶詰めされて販売されるようになりました。1914年には温泉プールが開業し、1994年まで営業していました。

生態系

この温泉が湧き出ている周辺地域は、特有の生態系が形成されています。特に、絶滅危惧種である淡水産巻貝のPhysella johnsoniが生息するため、ここは生物多様性の保護にも重要な場所です。しかし、1924年にカダヤシが導入されたことにより、周囲の池からウグイに似た固有種のRhinichthys cataractae smithiが絶滅してしまった例もあります。このように、温泉の生態系は非常に繊細であり、環境保護の観点からも注目を浴びています。

ケイヴ・アンド・ベイスンは、温泉の美しさだけでなく、歴史や生態系の重要性にも焦点を当てた魅力的なスポットです。訪れる人々に自然の驚異と歴史を伝え続ける場所として、今後も多くの人々に親しまれることでしょう。

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