ケイ素生物

ケイ素生物とは

ケイ素生物は、主にサイエンスフィクション（SF）の世界に登場する、ケイ素（シリコン）を基本構成元素とする生物の総称です。ケイ素生命とも呼ばれます。

ケイ素生物の概念

地球上の生命は、炭素を基本として構成されています。これは、炭素が持つ4つの原子価による多様な結合能力に起因します。SFの世界では、炭素と同族元素であり、同じく4つの原子価を持つケイ素が、生命のような構造を形成する可能性に着目されました。地球上ではケイ素は主に二酸化ケイ素として存在しますが、人工的にはシリコーンゴムのような有機的な高分子も合成されています。ケイ素生物に対して、炭素を基本とする地球上の生物は「炭素生物」と呼ばれます。

SF作品におけるケイ素生物

SF作家であり生化学者でもあったアイザック・アシモフの短編「もの言う石」に登場する「シリコニー」は、ケイ素生物の代表的な例です。シリコニーは卵形で、底面から6本の脚が放射状に伸びており、緩慢な動きをします。この作品は、多くのSFファンに強い影響を与えました。

ケイ素生物のイメージとしては、「ケイ素を主体とするため、岩石のような外見を持つ」「原子量が大きいため、反応速度が遅く、生命活動が認識しにくい」「高温環境下で生存する」などが挙げられます。

ケイ素生物の実現可能性

しかし、ケイ素生物の実現可能性には多くの疑問があります。炭素-炭素結合とは異なり、ケイ素-ケイ素結合は常温常圧下では安定した二重・三重結合を形成しにくく、不安定です。ケイ素化合物の多くは、炭素化合物のアルカンに相当する有機シランであり、地球のような環境下ではケイ素生物の存在は考えにくいとされています。異なる環境を想定しても、ケイ素を主体とする化合物は炭素化合物に比べて種類が少ないため、生命の多様性を生み出すには不向きです。カール・セーガンは、地球外[[生命]]体が存在するとしても、炭素生物である可能性が高いと述べています。

現実のケイ素と生物

現実の生物にも、ケイ素を多量に含むものは存在します。しかし、これらは二酸化ケイ素の形で、ガラス質の骨格や殻を形成したり、細胞内に結晶として蓄積されたりするもので、生物学的な活性を持つわけではありません。ケイソウ、放散虫、海綿動物などがケイ素を含む骨格を持ち、イネ科植物はプラント・オパールとしてケイ素を蓄積します。

ケイ素生物が登場する作品（一部）

小説
もの言う石（アイザック・アシモフ）
宇宙船∞号の冒険（シリコニア・カウンタマス）（川又千秋）
火星のオデッセイ（スタンリイ・G・ワインボウム）
朝のガスパール（筒井康隆）

ドラマ
宇宙大作戦（ホルタ）
Xファイル - シーズン2・9話「地底」

映画
ガメラ2 レギオン襲来（レギオン）
スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲|スター・ウォーズ エピソード5_帝国の逆襲（エクソゴース、マイノック）

漫画
サンダーマスク（手塚治虫）
火の鳥（手塚治虫）
攻殻機動隊2（士郎正宗）

アニメ
蒼穹のファフナー（フェストゥム）

ゲームソフト
マブラヴ オルタネイティヴ（âge）
ピクミン2（ゾウノアシ）

まとめ

ケイ素生物は、科学的な実現可能性は低いものの、SF作品において多様な生命の可能性を追求する上で重要な役割を果たしています。その奇抜なアイデアは、私たちに生命の定義や存在意義について深く考えさせるきっかけを与えてくれるでしょう。

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