ケプラー20e

ケプラー20e

ケプラー20eは、地球から見ておよそ900光年の距離に位置する、こと座の方向にある太陽系外惑星です。この惑星は、ケプラー20AというG型主系列星の周囲を公転しています。ケプラー20Aは、連星系であるケプラー20系の主星に当たります。そのため、ケプラー20Aeと呼ばれることもあります。

発見

この惑星は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡による観測データから発見されました。具体的には、惑星が主星の手前を横切る際に生じるわずかな光の減少を捉える「トランジット法」が用いられています。2011年、同じ恒星ケプラー20Aの周りを回る他の4つの惑星と共に、その存在が公にされました。当初、一部の報告ではケプラー20eとケプラー20fは「惑星候補」として扱われていましたが、その後まもなく別の研究チームによって、これらが紛れもない惑星であることが追加の観測データによって確認され、その存在が確定しました。

特徴

ケプラー20A系において、ケプラー20eは既知の惑星の中で最も小さなサイズを持っています。その半径は地球の約80パーセント程度です。特筆すべきは、発見された当時、既知の太陽系外惑星の中で地球よりも小型であることが確認された最初の事例であったという点です。この発見は、同時期に報告された、サイズがほぼ地球と同等のケプラー20fと共に、太陽系外に地球規模の大きさを持つ惑星が存在することを初めて明確に示した点で、系外惑星研究において重要な一歩となりました。

惑星の正確な質量については、発見当初は確定的な値が得られていませんでした。初期の分光観測では地球の3.08倍未満、理論モデルでは地球の0.39倍から1.67倍という広い範囲で推定されていました。しかし、2023年に高精度なHARPS-N分光器を用いた主星の視線速度観測による詳細な研究結果が発表され、ケプラー20eの質量が最大でも地球の0.76倍であることが明らかになりました。これにより、ケプラー20Aを公転する惑星の中で、質量が地球より小さいのはケプラー20eのみであることが判明しました。

ケプラー20eの軌道は、主星から非常に近接しています。軌道長半径は約0.06天文単位（地球-太陽間の平均距離の約6%）であり、これは距離にして約950万キロメートルに相当します。これほど近い軌道であるため、公転周期は約6日と極めて短いサイクルで主星の周りを回っています。

主星からのこの近さは、惑星の表面環境に決定的な影響を与えています。ケプラー20eは、液体の水が存在しうる温度帯である「ハビタブルゾーン」からはるかに内側に位置しています。大気の影響を考慮しない単純な計算による平衡温度は1,004ケルビン（摂氏731度）にも達します。この極めて高い温度から、少なくとも地球上で知られているような生命が存在できるような環境ではないと考えられています。

惑星の組成は、完全に岩石で構成されていると推測されています。また、主星からの強い放射と熱により、厚い大気は保持できない可能性が高いと考えられています。主星との極端な距離は、潮汐力による強い相互作用を引き起こしており、自転と公転が同期する「潮汐固定」の状態にある可能性が指摘されています。もし潮汐固定されている場合、常に主星に同じ面を向けた昼側の半球と、永遠に主星の光が当たらない夜側の半球が生じ、その間で非常に大きな温度差が存在すると推測されます。さらに、内部の潮汐熱などにより、地質学的に活発な状態にある可能性も示唆されています。

これらの特徴から、ケプラー20eは、太陽系には見られないような、主星の極めて近くを公転する小型の岩石惑星として、系外惑星系の多様性を理解する上で貴重な研究対象となっています。

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