ケプラー22

ケプラー22は、地球から約620光年（約190パーセク）離れたはくちょう座の方向にある恒星です。天球上の位置は赤経19時16分52.2秒、赤緯+47度53分4.2秒です。視等級は12等と暗く、肉眼では見えませんが、口径10cm以上の天体望遠鏡を使えば観測できます。

この恒星は、スペクトル型がG型主系列星と考えられており、私たちの太陽と多くの点で似ています。しかし、太陽に比べるとわずかにサイズが小さく、表面温度も低いという違いがあります。また、太陽よりも金属量、すなわちヘリウムより重い元素の存在比が低いことも観測から示唆されています。光度階級については、物理的な特性から主系列星である可能性が高いとされていますが、確定には至っていません。

ケプラー22が天文学分野で特に知られているのは、その周囲を公転する惑星の存在、とりわけハビタブルゾーン内に位置する惑星が見つかったためです。ハビタブルゾーンとは、恒星からの適切な距離にあり、惑星表面に液体の水が安定して存在できる可能性がある領域のことです。生命が存在しうる環境の条件の一つとして重要視されています。

2011年12月5日、NASAのケプラー宇宙望遠鏡による観測データに基づき、この恒星のハビタブルゾーン内に系外惑星「ケプラー22b」が発見されたと発表されました。ケプラー宇宙望遠鏡は、恒星の手前を惑星が通過（トランジット）する際に起こるわずかな光度の変化を捉えることで、系外惑星を探査するミッションを遂行していました。

発見されたケプラー22bは、「スーパーアース」と呼ばれるカテゴリーに属する惑星です。スーパーアースとは、地球より大きく、海王星より小さいサイズの岩石惑星またはガス惑星を指す言葉です。ケプラー22bの推定半径は地球のおよそ2.38倍であり、これは発見当時、太陽と似た恒星のハビタブルゾーン内にある系外惑星としては、地球に最も近いサイズであることから、非常に注目を集めました。この発見は、生命居住可能性を持つ可能性のある惑星が、太陽系外にも広く存在するかもしれないという期待を高めました。

ケプラー22bの表面の平衡温度は、惑星が大気を持たず、恒星からの光をすべて吸収して再放射する黒体であると仮定した場合、約262ケルビン（約-11℃）と計算されています。これは地球の平衡温度である約255ケルビン（約-18℃）と比較的近く、もしケプラー22bが適切な大気を持っていれば、惑星表面に液体の水が存在する可能性がさらに高まります。ただし、実際の惑星の温度や環境は、大気の組成や密度、内部熱源の有無など、平衡温度だけでは決まりません。

ケプラー22bの質量や密度については、その後の観測でも正確に決定されておらず、したがって、この惑星が岩石質なのか、あるいは揮発性物質を多く含むのか、あるいは小型のガス惑星なのかといった組成に関する詳細な情報はまだ不明です。しかし、ハビタブルゾーン内に位置するスーパーアースという特徴から、現在も系外惑星研究における重要なターゲットの一つであり、将来の観測によるさらなる詳細な情報の取得が期待されています。ケプラー22系は、宇宙における生命の可能性を探る上で、貴重な示唆を与えてくれる存在と言えるでしょう。

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