ケプラー40

ケプラー40（英語: Kepler-40、KOI-428とも呼ばれます）は、地球からはくちょう座の方向へ約8100光年離れた宇宙空間に存在する恒星です。

この恒星は、その周囲を公転する少なくとも一つの系外惑星、ケプラー40bを持っていることが確認されています。惑星の存在を示す信号が捉えられた後、その真偽を確かめるための詳細な追跡観測データが分析されました。この解析の結果、惑星ケプラー40bの存在が確定し、その成果は2011年1月4日に専門の科学雑誌に発表されました。

恒星ケプラー40は、太陽と比較すると、質量は約1.5倍、そしてサイズ（半径）は2倍以上と、かなり大きな星です。

観測と発見の経緯

ケプラー40は、アメリカ航空宇宙局（NASA）が打ち上げた宇宙望遠鏡「ケプラー」の観測対象となりました。ケプラーは、遠方の恒星の前を惑星が横切る際に生じるわずかな明るさの変化（トランジット）を捉えることで、系外惑星を探査することを目的としていました。

ケプラー望遠鏡の最初の33.5日間の運用期間中に、ケプラー40から惑星が存在する可能性を示す信号が検出されました。これを受けて、2009年5月中旬から6月中旬にかけて、この天体は関心天体（Kepler object of interest、略称KOI）としてKOI-428の番号が割り当てられました。

ケプラー望遠鏡の光度計によって収集された観測データは広く公開され、その中にはケプラー40に関するデータや、トランジットを起こしていると見られる天体のデータも含まれていました。この公開データに注目したフランスとスイスの天文学者チームは、データの詳細な分析を開始しました。

彼らはまず、検出された信号が惑星によるものではなく、別の原因による「偽陽性」ではないか thorough にテストしました。誤検出の可能性が排除された後、研究チームは南フランスのオートプロヴァンス天文台にあるSOPHIE分光器を用いて、ケプラー40星の視線速度を精密に測定しました。この測定データを分析することで、捉えられた信号が、近接した軌道を公転する別の星（連星）によるものなのか、あるいは本当に惑星によるものなのかを慎重に調査しました。

分析の結果、信号が惑星ケプラー40bによるものであることが確認されました。惑星の存在が確定した後も、フランスとスイスの研究チームはSOPHIEによって得られた星のスペクトルを分析し、ケプラー40星自体の物理的な特性（恒星パラメータ）を明らかにするための研究を続けました。

惑星ケプラー40bが発見された当時、ケプラー40は、トランジット法で惑星が確認された恒星の中では、最もサイズが大きく、進化段階も進んだ天体として知られるようになりました。特に、太陽半径の1.8倍を超えるような大きな恒星としては、ケプラー5やケプラー7に次いで、トランジット惑星が発見された6番目の事例となりました。

ケプラー40の周囲を公転する惑星の発見に関する研究論文は、2010年9月15日に学術誌に投稿され、詳細な審査を経て2011年1月4日に「アストロノミー・アンド・アストロフィジックス」誌に正式に掲載されました。

恒星ケプラー40の特性

恒星ケプラー40は、スペクトル分類ではF型星に分類されます。その質量は太陽の約1.48倍、半径は太陽の約2.13倍と測定されています。星の表面温度を示す有効温度は約6510 Kであり、これは太陽（約5778 K）よりも高い温度です。

前述の通り、惑星発見時点において、ケプラー40はトランジット惑星を持つ恒星の中で最も大きく、進化段階が進んだ例でした。特に、半径が太陽の1.8倍を超える恒星としては、6番目にトランジット惑星が見つかった事例として記録されています。

地球からの距離は約2500パーセク（約8100光年）と非常に遠方にあります。また、見かけの明るさを示す等級は14.58等級と非常に暗いため、ケプラー40を肉眼で夜空に見ることは不可能です。

ケプラー40b惑星系

ケプラー40bは、恒星ケプラー40の周囲でこれまでに発見された唯一の惑星です。この惑星は、ホットジュピターと呼ばれるタイプの系外惑星であり、主星のすぐ近くを公転しています。

ケプラー40bの質量は木星の約2.2倍、半径は木星の約1.17倍と推定されています。これらの値から計算される惑星の平均密度は1.68 g/cm3となります。

主星からの強烈な放射を受けるため、惑星の平衡温度は約1620 Kという非常に高温に達しており、これは地球の平衡温度の6倍以上に相当します。

軌道については、主星ケプラー40からの平均距離が約0.087天文単位（AU）と非常に近く、わずか6.87日という短い周期で恒星の周囲を一周しています。

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