ケプラー6

ケプラー6

ケプラー6は、はくちょう座の方向に見える黄色い恒星です。この星は、アメリカ航空宇宙局（NASA）が運用した宇宙望遠鏡、探査機ケプラーによる観測の主要なターゲットの一つでした。ケプラー計画の主な目的は、私たちの太陽系以外の恒星の周りを回る、地球に似た惑星、特にハビタブルゾーン（生命が存在しうる領域）にある惑星を探し出すことでしたが、その過程で多様な系外惑星が発見されました。ケプラー6の周囲でも、その観測から系外惑星が存在することが確認されています。

恒星の特徴

恒星としてのケプラー6は、太陽と比較していくつかの興味深い特徴を持っています。まず、その物理的サイズです。質量は太陽の約1.21倍、半径は約1.39倍と、太陽よりも一回り大きな恒星です。表面温度は太陽の約5,777ケルビン（約5,504℃）に対して、ケプラー6は約5,647ケルビン（約5,374℃）とわずかに低い温度を示しています。年齢については約38億年と推定されており、これは太陽の約46億年よりやや若い段階にあると考えられます。

特筆すべきはその化学組成です。星に含まれる金属元素の量を示す金属量は、[Fe/H]の値が+0.34と測定されており、これは太陽よりもかなり豊富に金属元素が存在することを意味します。具体的には、太陽の約2.2倍もの金属が含まれていると推定されています。しかし、地球から観測した場合の明るさは、視等級が13.5等級と非常に暗いため、肉眼で見ることはできません。これは、最も明るい時期の冥王星（約13.65等級）と同程度の暗さです。

命名と発見の経緯

「ケプラー6」という名称は、この星がNASAのケプラー計画によって観測されたことに直接由来しています。太陽やシリウスといった古くから知られる星のような固有の名称は持っていません。ケプラー計画は、トランジット法という方法を用いて系外惑星を探しました。これは、惑星が恒星の前を通過する際に、恒星の明るさがわずかに低下する現象を捉えるものです。

ケプラー6の周回惑星であるケプラー6bの発見は、ケプラー計画の初期の重要な成果の一つとして、2010年1月4日にアメリカ天文学会で行われた第215回会合で公表されました。この時、ケプラー4b、5b、7b、8bといった他の初期発見惑星と共に発表されています。ケプラー計画によって検出された系外惑星としては、ケプラー6bは3番目の発見となります。番号が6なのは、ケプラーが本格的な観測を開始する前に、すでに存在が知られていた3つの系外惑星（TrES-2、HAT-P-7b、HAT-P-11b）を使って、探査機の観測能力や精度を確認するための試験観測が行われ、これらの惑星も検出リストに含まれたためです。

ケプラーによるケプラー6bの発見候補は、その後、ハワイのケック第1望遠鏡をはじめとする世界各地の強力な地上望遠鏡による精密な追観測によって確認され、その存在が確定しました。これらの地上からの観測は、ケプラーが見つけた候補天体が本当に惑星であるかどうかを確かめる上で不可欠な役割を果たしています。

惑星系

ケプラー6の周囲には、現在までに少なくとも一つの系外惑星、ケプラー6bの存在が確認されています。この惑星は、そのサイズや性質から巨大ガス惑星に分類され、「ホットジュピター」と呼ばれるタイプの可能性があります。ケプラー6bの質量は木星の約0.67倍、つまり木星の約3分の2程度ですが、半径は木星の約1.3倍と、木星よりも一回り大きいことが分かっています。

この惑星は、主星であるケプラー6から非常に近い軌道を公転しています。その平均軌道距離は約0.04852天文単位であり、これはおよそ726万キロメートルに相当します。地球から太陽までの距離が約1億5千万キロメートルであることを考えると、いかに主星に近いかが分かります。この近さのため、ケプラー6bの公転周期はわずか3.235日と極めて短いです。現在の観測データからは、その軌道がほぼ円形であると推定されています。

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