ケプラー4b

ケプラー4bは、NASAのケプラー宇宙望遠鏡によってその存在が確認された、初期の太陽系外惑星です。この惑星は、サイズや質量において私たちの太陽系にある海王星に匹敵する特徴を持っています。しかし、主星である恒星ケプラー4のごく近傍を公転しているため、その環境は非常に過酷で、表面温度は想像を絶するほど高くなっています。

ケプラー4bは、ケプラー宇宙望遠鏡が観測を開始してまもない、最初の約6週間分のデータから惑星候補として検出されました。その後、ハワイにあるW・M・ケック天文台による追跡観測が行われ、ドップラー分光法を用いて惑星の質量が測定されることで、その存在が確実なものとなりました。この発見は、他のいくつかの新たな惑星候補（ケプラー5b、6b、7b、8b）と共に、2010年1月4日にワシントンD.C.で開催されたアメリカ天文学会第215回会合で正式に発表されました。ケプラー4bは、この一連の発表の中で最初に確認された惑星として注目されました。正式に存在が確認される前、ケプラー宇宙望遠鏡による観測で得られた惑星候補天体リストの中では、「KOI-7.01」という識別名で呼ばれていました。

「ケプラー4b」という名称は、この惑星が周回する恒星「ケプラー4」に由来しています。ケプラー計画では、惑星のトランジット（恒星面通過）を観測した恒星を、観測視野内で見つかった順に「ケプラー1」「ケプラー2」…と番号を付けて命名しています。そして、その恒星の周りで見つかった惑星には、発見順にアルファベットの小文字を付けて「b」「c」「d」…と名付けられます。ケプラー宇宙望遠鏡の主なミッションは、はくちょう座やこと座の領域にある多くの恒星の明るさを精密に測定し、惑星によるトランジット現象を検出することで、特に地球サイズの惑星を探し出すことにありました。

ケプラー4bが周回する主星、ケプラー4は、地球から約550パーセク（約1,800光年）離れた、りゅう座の方向に位置する恒星です。この恒星は、表面温度が約5,857ケルビンと、太陽の約5,778ケルビンに比べてわずかに高温です。また、質量は太陽の約1.092倍、半径は約1.533倍と、太陽よりやや大きく重い恒星です。年齢は約45億年と推定されており、これは太陽の約46億年と非常に近い値です。進化の段階としては、中心部での水素核融合をほぼ終え、主系列星としての寿命の終盤に近づいていると考えられています。

惑星ケプラー4bは、主星からわずか0.046天文単位（au）という極めて近い軌道を公転しています。これは、太陽から水星までの平均距離の10分の1以下に相当します。このため、公転周期も非常に短く、約3.213日で主星の周りを一周します。主星にこれほど近いため、惑星の表面温度は約1,700ケルビンにも達すると推測されています。この温度は、太陽系で最も表面温度が高い惑星である金星（約735ケルビン）の倍以上であり、非常に高温な世界です。惑星の物理的な特徴を見ると、半径は地球の約4倍、質量は約25倍と測定されており、これは太陽系の海王星の質量や半径に近い値です。しかし、海王星が氷やガスを主成分とする低温の惑星であるのに対し、ケプラー4bはその極端な高温から、構成物質の状態は全く異なると考えられます。当初の観測では軌道は円形（軌道離心率0）と仮定されていましたが、その後の詳細な分析により、軌道離心率は0.25 ± 0.12という値が示され、やや楕円形である可能性が示唆されています。

このように、ケプラー4bは質量や半径は海王星に似るものの、主星の極近傍を回る灼熱の系外惑星として、初期のケプラーミッションが明らかにした多様な惑星世界の存在を示す好例となりました。

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