ケルキラ島

ケルキラ島（コルフ島）: 歴史と文化の島

地中海東部のイオニア海に位置するケルキラ島は、ギリシャを代表する観光地の一つです。古くから戦略的に重要な場所として知られ、その歴史は古代ギリシャにまで遡ります。美しい海岸線と豊かな自然、そして世界遺産に登録された旧市街は、多くの観光客を魅了しています。

地理

南北に細長く伸びるケルキラ島は、鎌のような形をしています。イオニア諸島の中でも最北端に位置し、イタリア半島にも比較的近いのが特徴です。総面積は約593平方キロメートルで、海岸線は217キロメートルにも及びます。

島の中央部は丘陵地帯、北部は山岳地帯、南部は平野が広がり、多様な地形が織りなす美しい景観は、多くの観光客を惹きつけます。パンドクラトラス山（906m）が島の最高峰であり、海岸線には数々の美しいビーチが点在しています。また、ケルキラ島は地質学的に活発な地域に位置しており、歴史的に地震の発生も確認されています。

歴史

古代

ケルキラ島に関する最古の記録は、紀元前1300年頃のものまで遡ります。古代ギリシャ時代には、コリントスの植民地として発展しましたが、後に独立を果たし、独自の文化を築きました。戦略的な位置から、古代世界において重要な交易拠点として栄え、アテナイやコリントスといった強大な勢力との間で争奪戦が繰り広げられることもしばしばありました。ペロポネソス戦争や、他の多くの紛争において重要な役割を果たしたのです。

ローマ時代には、ローマ帝国の重要な海軍基地として機能し、その後も東ローマ帝国、ノルマン人、ヴェネツィア共和国など、様々な勢力の支配下に置かれました。

中世

中世には、ヴェネツィア共和国の支配下に入り、長きにわたり繁栄を享受しました。ヴェネツィアの支配は18世紀後半まで続き、その影響は島の建築様式や文化にも色濃く残っています。この時代には、数々の修道院や教会が建設され、独特の建築様式が発展しました。

近世・現代

18世紀末から19世紀にかけては、フランス、ロシア、イギリスなどの支配を受けましたが、最終的に1864年にギリシャ王国に併合されました。20世紀には、第一次世界大戦、第二次世界大戦、さらにはギリシャとイタリアとの間の紛争など、様々な歴史的出来事を経験しました。第二次世界大戦中、ケルキラ島は枢軸国の占領下にあったため、多くの島民が抵抗運動に加わりました。

文化

ケルキラ島には、豊かな文化遺産が数多く残されています。世界遺産に登録されている旧市街は、ヴェネツィア時代の建築物が立ち並び、中世の面影を色濃く残しています。ギリシャ正教会の美しい教会や、歴史的な要塞なども見どころです。

また、コルフ・アジア美術館では、浮世絵師東洲斎写楽の肉筆扇面画が所蔵されています。これは世界で初めて発見された肉筆画であり、日本の美術史にとっても貴重な資料となっています。

神話

ギリシャ神話において、ケルキラ島はニュンペーのコルキューラにちなんで名付けられたとされています。コルキューラは海神ポセイドーンに連れ去られ、この島で子をもうけたという神話があり、その息子がパイアクス人（フェアキア人）の祖先とされています。また、ホメロスの『オデュッセイア』に登場するスケリア島は、ケルキラ島のことだと考えられています。

まとめ

ケルキラ島は、悠久の歴史と美しい自然、そして豊かな文化が調和した、魅力的な島です。古代から現代まで、様々な出来事を経てきたこの島を訪れることで、地中海の深い歴史と文化に触れることができるでしょう。

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