ケレスティヌス2世 (ローマ教皇)

ケレスティヌス2世（Caelestinus II, 生年不詳 - 1144年3月8日）は、カトリック教会の第165代ローマ教皇であり、在位期間は1143年9月26日から1144年3月8日と非常に短いものでした。本名はグイード・ディ・カステッロ（Guido di Castello）といい、イタリアのチッタ・ディ・カステッロの出身です。

生い立ちと教皇選出まで

教皇に選出される以前のグイードは、著名な神学者ピエール・アベラールと親交が深く、彼のもとで神学を学びました。1127年には助祭枢機卿に、1134年には司祭枢機卿に任命され、教会内での地位を着実に高めていきました。1140年に開催されたサンス教会会議では、教皇特使として参加し、アベラールの弁護に尽力しました。この行動が、アベラールと対立していたクレルヴォーのベルナルドゥスから叱責を受ける要因となりました。しかし、グイードはアベラールとの親交を生涯にわたり維持しました。

当時の教会は、インノケンティウス2世と対立教皇アナクレトゥス2世の二人の教皇が並立する状況にありました。グイードはベルナルドゥスと共にインノケンティウス2世を支持し、教会の分裂を収束させるために尽力しました。インノケンティウス2世が1143年9月24日に死去すると、その2日後の9月26日にグイードが後継の教皇として選出され、ケレスティヌス2世として即位しました。

短い教皇在位期間

ケレスティヌス2世の在位期間はわずか5ヶ月と13日でした。1144年3月8日に死去し、ラテラノの墓地に埋葬されました。短い期間ではありましたが、教皇として重要な活動をいくつか行っています。

教皇としての業績

ケレスティヌス2世の主要な業績の一つは、前教皇インノケンティウス2世がフランス王ルイ7世に対して行った破門を解いたことです。これにより、3年にわたって続いていたフランスにおける聖務停止命令も解除され、フランスと教会の関係は正常化に向かいました。また、シチリア王ルッジェーロ2世との間で締結された和睦協定の再交渉を試みるなど、ヨーロッパの政治的安定にも貢献しようとしました。

ケレスティヌス2世は、友人でありアベラールの弟子でもあったジャチント・ボボーネを助祭枢機卿に任命しました。このボボーネは後に教皇ケレスティヌス3世（1191年選出）として教皇位に就くことになります。ケレスティヌス2世の短い在位期間は、教皇史の中では必ずしも大きな転換点とはみなされませんが、彼の行動は後世の教皇たちの活動に影響を与えたと言えるでしょう。

まとめ

ケレスティヌス2世は、その生涯において、神学者としての深い知識と、教会内の政治的な駆け引きにも精通した人物でした。短い教皇在位期間にもかかわらず、フランス王の破門解除など、重要な決定を行い、教会の平和と安定に貢献しました。アベラールとの友情を生涯大切にしたことや、後世に教皇となる人物を枢機卿に任命したことも、彼の足跡として特筆される点です。

参考文献

『キリスト教人名辞典』日本基督教団出版局、1986年。
学校法人 上智学院 新カトリック大事典編纂委員会編『新カトリック大事典 第2巻』研究社、1998年。
P.G.マックスウェル・スチュアート著、月森左知・菅沼裕乃訳、高橋正男監修『ローマ教皇歴代誌』創元社、1999年。
マシュー・バンソン著、長崎恵子・長崎麻子訳『ローマ教皇事典』三交社、2000年。

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