ケントロサウルス

ケントロサウルス：スパイクを持つジュラ紀の剣竜

ケントロサウルス（学名：Kentrosaurus）は、ジュラ紀後期キンメリッジ期（約1億5500万年前～1億5000万年前）にアフリカ大陸に生息していた剣竜類の草食恐竜です。ステゴサウルスに近縁であり、その特徴的な姿から「スパイクのトカゲ」という意味の学名が与えられました。

形態の特徴

ケントロサウルスはステゴサウルスと比較して小型で、装甲の形状や体の柔軟性にも違いが見られます。

大きさ: ステゴサウルスが体長7.4メートル、体重3.5トンに達するのに対し、ケントロサウルスは体長2.5 - 5メートル、体重400キログラム - 1.5トンと、かなり小柄でした。
背中の装甲: ステゴサウルスは菱形の骨板が2列互い違いに配置されていますが、ケントロサウルスでは骨板が2列対称に配置されています。さらに、腰のあたりからは骨板が細く伸びた棘状に変化しているのが特徴です。この棘は、ヨーロッパのレクソヴィサウルスなどにも見られる特徴です。
装甲の用途: ステゴサウルスの骨板は体温調節の役割を果たしていたと考えられていますが、ケントロサウルスの骨板と棘は、主に防御のために使われたと考えられています。
腰の棘: ケントロサウルスの腰には、湾曲した鋭い棘があります。この棘の位置については、中国で発見されたトゥオジャンゴサウルスなどの剣竜類では肩についていたという証拠があり、ケントロサウルスの復元に関しても再検討の余地があるという意見も出ています。

また、ステゴサウルスに見られる、腰から尾にかけての脊椎骨の顕著な棘突起が、ケントロサウルスにはありませんでした。この棘突起は、ステゴサウルスが後肢で立ち上がり、木の葉を食べることを可能にした強靭な筋肉が付着していた場所です。ケントロサウルスにはそのような能力はなかったと考えられています。大腿骨の長さの比率から、ケントロサウルスは動きが遅く、あまり活発な恐竜ではなかったと推測されています。

頭骨については断片的な化石しか見つかっていませんが、近縁種からの推測では、頭骨は小さく細長い形をしており、歯がなく、角質の嘴を持っていたと考えられています。

生息環境と進化

ステゴサウルスが北アメリカ大陸のモリソン累層で、ケントロサウルスがアフリカ大陸のテンダグル累層で発見されたことは、両者の共通祖先がパンゲア超大陸に生息していたことを示唆しています。パンゲア大陸はその後、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂し、それぞれの地域で独自の進化を遂げたと考えられます。ブラキオサウルス類においても、同様の地理的な分布と進化のパターンが見られます。

発見と標本

ケントロサウルスの化石は、1909年から1912年にかけてドイツが実施したドイツ領東アフリカ（現在のタンザニア）への遠征で発見されました。この遠征に参加した古生物学者の一人、エドウィン・ヘニッヒが1915年にケントロサウルスを記載しました。ほぼ完全な骨格が復元され、ベルリン大学のフンボルト博物館に展示されましたが、第二次世界大戦中の爆撃で博物館が破壊され、大部分が焼失してしまいました。

関連項目

恐竜の一覧
絶滅した動物一覧
* ステゴサウルス

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