ケンプ・トリー

ケンプ・トリーの生涯と業績

ケンプ・トリー（Kemp Tolley、1908年4月29日 - 2000年10月28日）は、アメリカ合衆国の海軍軍人であり歴史家としても知られています。退役後、太平洋地域や中国、ソ連におけるアメリカの海軍史に関連する著作物を残しました。最終的には海軍少将に昇進し、多くの功績を収めました。

生い立ちと教育

トリーは、当時アメリカの植民地であったフィリピンのマニラで生まれました。彼の父、オスカー・ケンプ・トリーは陸軍中佐としてフィリピンに駐屯しており、トリーは海軍兵学校に進学。1929年に卒業し、在学中にはフラタニティ組織ファイ・アルファ・シータの会員として活動しました。

軍歴の始まり

1930年代、トリーは戦艦や巡洋艦、潜水艦など様々な艦艇に乗艦し、また中国に派遣されて長江上流の砲艦「トゥトゥイラ」の副長として勤務しました。彼はロシア語やドイツ語、フランス語、スペイン語を話すことができるという多言語の能力を持っていました。

第二次世界大戦での活躍

1941年11月、当時中尉だったトリーは砲艦「ウェーク」に乗り込み、中国の漢口を出発。その後、長江を下り上海を経て、フィリピンのマニラに向かいました。彼は12月5日に「ラニカイ」という武装したヨットの船長に任命され、フィリピン沖を航行。その任務は、日本海軍に存在を知らしめることによってアメリカの開戦理由を作るものでしたが、日本は「ラニカイ」を攻撃しなかったため、彼はその後、陸上警備隊へ配属されました。

1941年12月26日、トリーは「ラニカイ」を指揮してオランダ領東インドへ向かいましたが、日本軍の侵攻によりスラバヤ沖海戦に参加。ジャワ島が降伏する直前に同盟国の滞留者を避難させ、最終的にはオーストラリアのフリーマントルに到着しました。トリーはその後も戦艦「ノースカロライナ」に所属し、戦闘に参加します。

戦後のキャリア

トリーは戦後、海軍作戦部で情報将校として働き、様々な指揮官職を歴任しました。1956年には横須賀基地の艦隊活動の司令官に任命され、その後も海軍の要職に就いたままキャリアを重ねていきました。1959年には退役し、その際に少将に昇進。退役後は故郷のメリーランド州に戻りました。

著作活動と晩年

引退後、トリーは海軍の歴史に関する著作に取り組みました。彼は「長江パトロール」や「ラニカイ号の航海」などの書籍、100以上の記事を執筆しました。なお、彼の業績は広く評価され、アメリカ海軍兵学校には彼の胸像が建てられています。

2000年10月28日、トリーは92歳でメリーランド州コーベットにて他界しました。彼の生涯はアメリカ海軍の歴史の中で魅力的な部分を成し、彼の遺したものは今なお多くの人々に影響を与えています。

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参考文献

• - 「長江パトロール」などの著作が、トリーの業績を知るうえでの重要な資料となっています。

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