ゲオルク・クルツィウス

ゲオルク・クルツィウス：19世紀ドイツを代表する言語学者

ゲオルク・クルツィウス (1820-1885) は、19世紀ドイツで活躍した著名な言語学者であり、文献学者でした。インド・ヨーロッパ語族比較言語学において重要な貢献を果たし、後進の育成にも力を注ぎ、ライプツィヒ大学で数多くの優れた学者を輩出しました。彼の生涯と業績を、詳細に見ていきましょう。

生涯：学究の道を歩む

1820年、リューベックに生まれたクルツィウスは、考古学者・歴史家として知られるエルンスト・クルツィウスを兄に持ちます。彼はボン大学とベルリン大学で学び、1842年に博士号を取得。アウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルやフランツ・ボップといった当時の著名な学者から薫陶を受けました。

卒業後はドレスデンのフィツトゥム・ギムナジウムで教鞭を執りながら研究活動を行い、論文を発表。1845年にベルリン大学に戻り、翌年には教授資格を取得、同大学で私講師を務めました。1849年にはプラハ大学に古典文献学の教授として移り、のちに同大学に赴任したアウグスト・シュライヒャーと同僚となりました。その後、1854年にキール大学、1862年にはライプツィヒ大学へと移り、1885年に没するまで23年間、ライプツィヒ大学で教鞭を執りました。

ライプツィヒ大学でのクルツィウスの講義は大変人気があり、特にギリシア語文法の講義には多くの学生が集まりました。彼は学生たちと活発な研究活動を行い、「文法の集い」という研究会を主宰し、学生たちの論文発表の場を積極的に提供しました。さらに、学術誌『ギリシア・ラテン文法研究』、『ライプツィヒ古典文献学研究』を発行し、学生たちの研究成果の発表を支援しました。

青年文法学派との論争

1870年代には、クルツィウスの門下からカール・ブルークマン、ヘルマン・オストホフ、アウグスト・レスキーン、エドゥアルト・ジーファースら青年文法学派と呼ばれるグループが生まれました。しかし、クルツィウスは彼らの主張する「例外のない音法則」や「ソナント理論」を批判しました。この論争は、当時の言語学界における大きな出来事の一つでした。

没後

1881年頃から健康を害していたクルツィウスは、1885年の夏休みの旅行中に現在のポーランド領で亡くなりました。没後も、彼の影響力は言語学界に大きく残り続けました。1886年には論文集が出版され、その中にはライプツィヒ大学就任時の講演「文献学と言語学」も収録されています。この講演において、彼は言語学と文献学の相互発展の重要性を説いています。また、プラハ時代に編纂した『ギリシア語学校文法』は、生前16版、没後も何度も重版されるなど、長く使用され続けました。

主要著作

クルツィウスは多くの著作を残しました。代表的なものとして、『ギリシア語語源の基礎』『ギリシア語の動詞』『最近の言語研究批判』などがあります。『最近の言語研究批判』は、青年文法学派への批判を展開したことで有名です。これらの著作は、現在でもインド・ヨーロッパ語族比較言語学の重要な文献として参照されています。

まとめ

ゲオルク・クルツィウスは、インド・ヨーロッパ語族比較言語学に多大な貢献を果たしただけでなく、優れた教育者としても知られています。彼の業績は、現代の言語学研究にも大きな影響を与え続けており、彼の名は今後も言語学史に刻まれ続けることでしょう。彼の生涯と業績は、19世紀の言語学研究の進展を理解する上で、非常に重要なものです。

もう一度検索